ヒノモト

金の国 水の国のヒノモトのレビュー・感想・評価

金の国 水の国(2023年製作の映画)
4.1
原作未見なんですが、大変素敵なアニメーション映画でした。

いがみ合う国同士の金の国のおっとり王女サーラと、水の国で暮らすお調子者の建築士ナランバヤルは、両国の思惑に巻き込まれて結婚し、偽りの夫婦を演じるというお話。

内容をほとんど知らずに観たのですが、設定上の説明は多めですが、恋愛要素と国同士の思惑が上手く絡み合って、物語やキャラクターの魅力が上回る面白さでした。

互いの国の利害関係のバランスと平和的解決、互いを納得させるための主人公2人の行動や嘘が、やがて大きな影響力を与えていくダイナミズムがあり、それでいて意外と等身大で現代的なキャラクターたちの織りなすのも素敵でした。

アニメ化されるにあたり、中東の国を意識した背景美術や音楽がきめ細やかで美しく彩られていて、世界観も良かったです。

あと、主演の賀来賢人さんと浜辺美波さんの声の演技が、脇を固めるベテラン声優さんたちとの間に違和感なく溶け込んでいたのも、大変良かったですし、周囲のクセの強いキャラが多いのも、物語を盛り上げていました。

細かく観ると若干コンパクトにまとまりすぎてるところもありますが、個々の人たちの幸せが、国や地域の幸せにつながるような未来の見せ方は、ギスギスした現実の世界の理想としてアニメで表現してくれることの救いになっているし、夢物語な恋愛映画だけに留まっていないこと自体が、予想外に良かったです。

原作は1巻で完結してるようなので、ぜひ読んでみたいと思いました。
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