トシオ88

女経(じょきょう)のトシオ88のレビュー・感想・評価

女経(じょきょう)(1960年製作の映画)
3.9
大映全盛期に若尾文子、山本富士子、京マチ子主役のドラマを各々増村保造、市川崑、吉村公三郎の3巨匠が描くオムニバス。

第一話 「耳を噛みたがる女」
第二話「物を高く売りつける女」
第三話「恋を忘れていた女」

いずれも甲乙付け難く、30分程度の短いドラマだけど、監督、そして主演の女優、俳優達の巧みな演技。そして個性的で濃密で、でも爽やかな😃演出。観た後に何だか少しだけ幸福になれる映画ってやっぱりいいなぁと😃。

第一話、若尾文子は意気の良さとフレッシュな演技が観るものを魅了。ホステスの同僚役で左幸子も出演してるが、どうしてこんな自然な演技が出来るのだろう。川口浩と田宮二郎も出演。川口浩がアストンマーチンを飛ばす昭和35年の表参道は貴重な映像。

第二話 山本富士子がその超絶な美貌で船越英二を惑わす妖しい物語。市川崑の映像テクニックも堪能。雨月物語を思わすストーリーが、最後には爽やかに幕。エンド間際の山本富士子の表情の機微…泣けます🥲。

第三話 京マチ子主演のドラマ。三編の中では最も普遍的かもしれないけど、京マチ子の圧倒的な演技力に平伏。昭和30年代の京都を舞台にしており、今はもう幻の静謐さに満ちた京都の街も堪能できる。ラストの早朝、四条大橋に佇む京マチ子が最高の映像風情。妹役で叶順子も出演してるけど、京マチ子に全部持っていかれる。

皆さん仰るように第二話が最高に面白い。30分の尺に収めた見事な作品。因みに船越英二演じる作家三原靖は三島由紀夫をモデルにしたらしいけど、三島本人はどう思っていたのか気になるなぁ😃。

エンドロールのアニメーションがチョイエロで面白い。カラーリングもポップで目に優しくお洒落さん。

戦後わずか15年後にこんなに意気のいい、そして今見ても潤沢な内容の映画を作れた日本映画界。環境は今と違うところがあるとは思うけど、映画という文化も当時、ズンズン成長していたんだなぁと改めて感心した次第😃🎬😆。
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