えむ

Dr.コトー診療所のえむのレビュー・感想・評価

Dr.コトー診療所(2022年製作の映画)
3.3
個人的にはめちゃくちゃモヤッとして終わったなという感じ。

もちろん感動的なドラマシリーズも楽しんでいたし、お約束な部分とか、そりゃこの手のものは大円団で終わらなくてはならないのは分かるんだけど、ここまで医療人すり減らしてるの観るのは、現場にいたことがある、身内にも医療人がいる身としてはかなりいたたまれない気持ちになる。

物語の中では高橋海人くん演じる先生だけが島の繋がりの強さや団結力に入りきれてない風にも見えかねないけど、実際は彼が1番冷静で正論を言っているからなあ……

もちろん医療に携わる人って誰かを助けたくてやってるし、誰も人を助けたくない人なんていないし、多少自分が犠牲になっても、ってタイプの人は実際多い。

だけれど、それを当たり前として期待して全ての負担を被せて、って言うのは個人的には違う気がしてて、現実は医療人もみんな患者と同じくただの人間で、限界もあれば出来ることも出来ないこともあるということは知ってないといけないんじゃないかと思ってる。
スキル持ってるからって、神様じゃない。

そりゃあ奇跡は信じたいけど、その反面現実を受け入れる準備もしとかないと、と思うわたしは現実派過ぎるのかな。

こんな風に先生が見るからに倒れて死にそうになってても、誰かを助けようとしてるのを誰1人止めない、むしろ起き上がって助けろと根性論ではっぱをかける。

正直それこそ人間である医者、1人の人の命を蔑ろにしてるようにしか見えないの。
信じてる、の一言で済むもんじゃない。

(少なくとも私はもういいから、って言った婆ちゃんが1番冷静に現実見てると思った。)

まあ結構好きに言ってるけど、助けるのは当たり前、どれだけ最善尽くしても、力及ばず助けきれなかったらただひたすら責められる立場に疲弊してる医療人をたっぷり見てきた私にはちょっと無理でした……ごめんね。

ドラマ的に綺麗に終わってるけど、コトー先生死にそうになってまで削り続けるのは見るに耐えなくて、最後これまでの感動が一気に萎えてしまったよ……残念過ぎるな。

もちろん役者陣の熱演には敬意を払いますが、話の流れは、ちょっと無理ありすぎだな。
えむ

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