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エゴイストのkalindaのレビュー・感想・評価

エゴイスト(2023年製作の映画)
5.0
[ エゴイスト ]

2023
主演 鈴木 亮平
監督 松永 大司

エッセイスト、高山真 氏の自伝的小説を実写化。


「僕は…愛ががなんなのかわかりません…。」(浩輔)

「いいんじゃないの?あたし達が愛と思っていたんだから…、それでいいじゃない。大丈夫…大丈夫…。」(妙子さん)


愛ってなんなんやろ?
恋とは違う…愛。

愛に飢えていたであろう浩輔さん(鈴木亮平)が
やっと出会った愛しい人、龍太(宮沢氷魚)、
安らぐ居場所。
幸せそうな2人の笑顔。
見ているだけで微笑ましい。
愛し合う2人のセックスシーン。
美しく愛おしい。

愛し合う2人の物語。


後半の妙子さん(阿川佐和子)の
包み込むような優しい台詞に何度も涙が流れた。
優しい台詞がたくさん。
妙子さんのような人に育てられたから
龍太くんは優しい人になりはったんやろね。

浩輔さんも、龍太くんも、
「ごめんなさい…」
何度も繰り返していた。
謝ることじゃないのに…。
謝らないでね…。


この作品は男性同士のカップルの物語として
世間から注目されている。
たしかにそれは間違ってはいないけど、
そこばかり注目しなくてもええんちゃうかな。

愛し合う2人の物語であって、
家族の物語でもあると思う。

結婚、家族、血の繋がりなどの
型にはまるようなものではなく、
もっとこうシンプルに、
そして深く、
愛を描いている。


浩輔さんがお友達と
楽しくお喋りしてはるお食事シーン。
初対面の妙子さんと中村家で
3人でお食事をしている
微笑ましい食卓シーン。
こっそり隠れながらするキス。
好きなシーンばかり。

浩輔さん、龍太くん、妙子さん、
それぞれに共感する部分が多く、
優しくもあり、切なくもあり、
鑑賞後はじんわりと
とてもあたたかい気持ちになった。

鈴木亮平さんのナチュラルな仕草や表情は
さすがとしか言えず、本当に素晴らしい。
宮沢氷魚くんは
#his (2020)とは
また違った雰囲気で今回も良かった。

#ストロベリーショートケイクス (2006)
狗飼 恭子さんが脚本を担当され、
#生きてるだけで愛 (2018)
世武 裕子さんが音楽を担当。
鑑賞前から好きな感じやろなとは思っていたけれど、
想像を超える深い愛の作品。


性別、年齢、人種、国籍、ハンディなど関係なく、
誰しもが
愛する人に愛していると伝えられる、
そんな幸せな世界になって欲しいですね。


ドキュメンタリーを観ているような、
まるでそこに一緒にいるような近い距離感。
とてもあたたかく素敵な時間でした。
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