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コットンテールのkalindaのレビュー・感想・評価

コットンテール(2022年製作の映画)
4.7

「どうしようもなくなったら
お父さんが助けてくれる」 (明子)


“ #ぐるりのこと “ (2008) 橋口亮輔監督
夫婦を演じたお二人が再び夫婦を演じる…
今思い出しても涙が溢れる名作
それだけでもう胸が熱くなる

大切な人を思う、愛する
このシンプルであり深い気持ちが
全編を通して溢れていた
優しい作品

リリーさん演じる頼りない男性・兼三郎
冒頭の時点で奥様・明子さん(木村多江)は
色々ご苦労されたんやなと…
お二人の思い出が随所に散りばめられている
出会った頃を演じられた俳優のお二人も
喋り方や佇まいを似せてはってとても良かった
お互いを本当に
大切に思っていることが伝わってくる


ほんの少しネタバレになると
ケーキを持って息子・トシ(錦戸亮)が
実家を訪れてくる時
明子さんは自分のことよりも
お紅茶の用意をしようとする
一瞬のシーン
自分のことよりも人のことを優先
明子さんの優しさを知り
この病の辛さ苦しさが表現されていた


どうしても「ぐるり…」での関係性と
重ねてしまい、涙が溢れ止まらなかった

目の前の大切な人が
肉体は存在はするのにいなくなる…
本人もその過程がわかる…

“ すべてうまくいきますように“ (2021)
フランス映画でも描かれていたけれど
安楽死 という選択ができるように
なればいいなと個人的には思う

ラストは薄々気付いていたことが
現実になり(多分…)
許されるベきことではないけど
もうこれはそうするしかなかったなと…
兼三郎が助けてくれたんちゃうかな

様々な考えがあるけれど
あれで良かったんやと思う

自分の将来・人生を考える内容であり
イギリスの監督が制作されたと
思えないような、日本の良さや空気感も
醸し出されていた

優しいそよ風に吹かれているような
イギリスの美しい風景が
心穏やかにしてくれる

本当に優しく素晴らしい作品です
オススメですね


※ “ぐるりのこと“ もしお時間ありましたら
ご覧になられてからをオススメします
未鑑賞でも素晴らしい作品ですが
感じ方がより深くなると思います

監督も“ぐるり…“ について
パンフで言及されています
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