“ 上質な大人の作品 “
もしあの時…
そう思ったこと
誰もが一度はあるんちゃうかな
上映中無意識に
歯をグーッと食いしばっていた
ラストは食いしばることができず
涙が溢れてしもた
今も泣いている
リアル、現実…
作りものらしくない
せやから余計に苦しく辛い
胸の奥の方にそっと大切に閉まっていたものを
えぐりだされているような痛さ
かなりの大怪我
オスカーノミネートやけど…
観るのを躊躇っていた
観てほんまに良かった
「PERFECT DAYS」鑑賞後と
気持ちの佇まいが似ているかな
上質な大人の作品
雨上がりのN.Y の街並み
水たまりに映る姿
大切な人と見るいつもの景色
同じ景色でもいつもとは違う
少しザラついた映像と
控えめな音楽が
心地良く寄り添ってくれる
登場人物はとても少ない
ヘソン、ノラ
そしてノラの夫アーサー
表情、仕草
それぞれ大人やから多くは語らへんけど
せやからこそ沈黙や“間“が
痛く優しい
相手を大切に思うからこそ
何も語らず、それ以上は言わない
大人やから…
イニョン＝ 縁
ご縁について語られている
ラストのヘソンの言葉が
全てを語る重みのある台詞やった
触れたい…
抱きしめたい…
キスをしたい…
あのラストは観る側にとっても
長く辛いものやった
子供やなくて大人やからね…
ちゃんとわかってるんよね…
大人やから……
誰も悪くない
大きな事件もない
作品としては観る人によったら
何も思わないかもしれない
106分という長くはない上映時間の中
ストーリー、撮り方、奏でる音
キャストの方々の繊細な表情
構図（ラストが特に素晴らしい）
完璧ちゃうかな
監督さんの自伝的ストーリー
大人の方達にご覧いただきたい作品ですね
大切にしたい作品がまたひとつ増えました
