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夜歩く男のzhenli13のレビュー・感想・評価

夜歩く男(1948年製作の映画)
3.6
実録モノの体をとるナレーション以外はほとんど無音のままの謎解きが粛々と淡々と華もなく進行し却って緊張感増す。それが最後の最後に地下水道の残響と陰影。そのコントラスト。犯人の動機や背景はほとんどわからず(大戦の経験が何らかの影響を及ぼしたことは示唆される)感情移入の余地は無いのに、狩りで捕らえられた獲物のようなリチャード・ベースハートの死体がアップになった途端ジ・エンドという血も涙も無いラストを思うと追い詰められた彼のアップが哀れですらある。牛乳屋に変装した刑事が女性の妄想の言動に付き合うシチュエーションの無意味さにぞっとする。あのシーンをデヴィッド・リンチはオマージュしているのではないか。
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