Habby中野

All the Streets Are Silent:ニューヨーク(1987-1997)ヒップホップとスケートボードの融合のHabby中野のネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

現在、ここ(ここはNYではないけど……)を見るための、アンチセンチメンタルなタイム・トリップ。とはいえ、暴力的なまでのテンポで情報をたたみかけてくるからそもそも感傷的になんてなれやしない。あまりに速すぎて正直”知る”ためのドキュメンタリーとしては体をなせていない。事実関係やストーリーは大してわからなかった、けれどこの暴風、時にはすきま風は、当時のストリートでの感触に似ているのではないかと思う。生まれたもの、消えたもの、得たもの、得るために失ったもの、そこに在ったがもうないもの。それらがこの足下にあることを指すと同時に、過去は消失したのではないと言う。
歴史化された”当時”に『Mixtape』を撮ったフィルムカメラの日本製レンズは、
──「まだ使える」。
ヒップホップとスケートボードが融合したあのエネルギーと作用を、あのとき吹いた風を、人々は決して失ったわけではない。
Habby中野

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