ノラネコの呑んで観るシネマ

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしいのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

4.5
うう、メルヘンなタイトルに騙された。
こんなしんどい内容だったとは。
京都の大学に進学した恋愛感情が分からない細田佳央太が、同期の駒井蓮と友だちになり、ぬいぐるみとしゃべるサークルに入会する。
二人は感受性が強く、他人の痛みを自分のことのように感じてしまうほどやさしい。
苦しい心のうちを誰かに話すと、その人も傷付けてしまうのではないかと恐れ、ぬいぐるみにだけ本心を吐露する。
そんな性格だから、初めての一人暮らしで誰にも相談できずにどんどん追い詰められて、うつ状態になってしまう。
やさし過ぎる人には、生きづらい世の中だな。
新谷ゆづみ演じるもう一人の同期が、普通の人の視点を代弁。
彼女はリアリストで感情移入しやすいのだけど、二人を見ているとこっちが間違ってるような気分になる。
やさしい人が壊れない世界が理想、しかし現実は違う。
これは、ガラスのように繊細な心を持つ二人が、大切な人と居場所を見つけ、少しずつ現実の世界に適応できる道筋を見つけるまでの、やさしくも厳しい物語。
駒井蓮が素晴らしいのは知ってるけど、細田佳央太もボーっとしたキャラがフィット。とてもいい映画です。
ところで、金子由里奈監督が金子修介の娘だと今知った。
作風は違うが、才能は確実に受け継がれているな。
ブログ記事:
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