イベリー子豚

探偵マリコの生涯で一番悲惨な日のイベリー子豚のレビュー・感想・評価

3.7
「万人にまったくオススメ出来ない」
「古今東西の」
「いや、それ誰が分かんだよ!ネタを」
「日本最強のマルチバース特異点・歌舞伎町を舞台に」
「ショーパン【マチルダ】コーデの
スペシャル・マリコ・アンフォーチュンと」
「ほぼ【入間みちお】な『リターナー』金城に」
「本日も様子のオカシイ【宇野祥平】」
「清楚系メンヘラ闇堕ちキャバ嬢【ちゃんくぼ】」
「熟女ホイホイ~猟奇的なキスを俺にして~
な【若手監督・蒼】」
「アンド・ソー・オン」
「+『バスケット・ケース(1982)』が揃ったら」
「ヤクザにホストはマストだし」
「忍者に殺し屋」
「宇宙人なんて避けられない!」
「ってことは」
「あれ?『メン・イン・ブラック』観てたんだっけ?」
「『鮫肌男と桃尻女』じゃね?」
「違うわ。そうだ『シン・シティ』だったんだ」
「な、お話」







……なんだぁ~??むりぃ~~っ!!!!!


いやはや
俺の中のヒロシ(ロバート山本)が
ついつい取り乱しちまうぜ。


「探偵=ハードボイルド」
そんな常識は通用しない
ド級に変態カルトのお出ましじゃねぇか。



ほぼ劇場内には
「足元の覚束ない人生の大先輩」たちしか
いなかったけど
見たら幸せになれると噂の(?)
「MM号のトランスフォーム」を
いったいどんな気持ちで
ご覧になっていたのだろうか。


むしろ
「誰に濡れ場任せとんねん!!?」は
そちらの方々へのご配慮だったのか。


それにしても
まつげマシマシ、メイク強めの
黒タイツ和製ナタリー・ポートマンが主人公なら
きっと素敵な脚フェチ推理ショーが
幕を開ける、と思いきや……。


人、滅茶苦茶、死ぬけど
アカンこれ
ミステリーやない!SF・Vシネやないか!!!


しかも
最大の謎は「二人だけ本人役」やないか!!


まったく
ヒヤヒヤさせてくれるじゃないの。


そして
「この映画が伝説になれない」理由が2つ。


まず
スピード感が絶望的に無いのよね。


どうにもこうにも
全編通して「【松尾スズキ】の間」。

ねちっこくて無駄が多い。

せっかくの交代制の短編連作なら
もっと章ごとに緩急とカラーを変えないと。


グッチャグチャのゲログロ・バイオレンスに
ハイセンスな笑いと
バイノーラルASMRエロスを織り込んだ
倒壊寸前のミルフィーユを食べたいんだ俺たちは。



お次は、最大の敗因。

「カタルシスがクライマックスに収束しない」。


群像劇仕様だからか
エピソードが独立しているクセに
それが結末に全く関係してこない。影響なし。

「それぞれの選択が未来を決める」
マルチエンディングじゃないんですよ。


実際、「変態通り魔」も
「ホストとの恋」も「エルフと巨根」も
【柳 龍光】も、物語の蚊帳の外。


当代きっての【伊坂幸太郎】好きとしては
このスカしかたは見逃せません。


せめてなぁ……
アップチューンなエンドロールで
死人全員がダンスでも踊ってくれれば
「あぁ、俺たちが観ていたのはコメディだったんだ!」
「よし、笑顔でまた会お!!」って
家に帰れたんだけど
【Da-iCE】の歌声だけじゃ
ハッピーエンドは迎えられないのさ。



でもな……
『アシスタント』でも触れたけど
この
「とっちらかってて、脈絡もなくて雑多で
歪で自分の認識外で世界が勝手に動いてる感じこそ
「歌舞伎町」という異界(量子世界?)そのもの」
「それを作品で表現してる」……って言われたら
そんな気もするもんなぁ……笑。



何より
「当時の自分を啓蒙したであろうカルチャー」を
恥ずかしげもなく
違法建築・積載量スレスレまでブチこんでくる
「潔さ」はなんだか羨ましいよ。

面白いかどうかは置いといて、ね。笑


そう、
『インディ・ジョーンズ』に望んでたのは
こういうピュアな作品愛だったんだよなぁ……。



果たして
「すすきののbarにいる天然パーマ」と違い
マジでゴールデン街から一歩も出ない
広域系ひきこもり型
「barを経営しているヤサグレ探偵」に
続編はあるのでしょうか。





※ちなみに本作に足りなかった全てのエンタメは
『断捨離パラダイス』にありました。