Emma

パリタクシーのEmmaのレビュー・感想・評価

パリタクシー(2022年製作の映画)
5.0
いかにもGAGAぽい作品だなと思い調べたら、配給まさかの松竹やった。意外。

興行的にメガヒットを出すような作品ではなさそうだなと第一印象では感じていましたが、調べるうちにフランスで初登場の新作として第1位を記録したというキャッチコピーを読み、お?と思いU-NEXTのポイント消化も兼ねて鑑賞してみました。

結論。軽い気持ちで見たけど、想像の斜め上をいく感動が待っていました。泣いた泣いた。

経済苦にもがきながら多忙なタクシー運転手として生活を送るシャルル46歳をミックマックでもお馴染みのダニー・ブーンが演じ、タクシーの乗客としてシャルルと一時の旅路を共にする92歳のマダム、マドレーヌをフランスの名シンガーで、なんと御年96歳のリーヌ・ルノーが演じます。

最初はよく話す客だな〜と面倒くさがっている様子も垣間見えるシャルルでしたがマドレーヌの壮絶な人生が紐解かれていくうちに、シャルルもまたその人生に驚嘆し、引き込まれ、マドレーヌの人柄も相まって心を通わせていきます。その過程が丁寧に描かれるのでリアリティがあって感情移入できました。

人との出会いというのは、どれほど長い時間を共に積み重ねたかよりも、共有した時間の濃密さで記憶に残るものとそうでないものとが、ふるいにかけられていくのかなと思いました。特に、苦しみや悲しみの中にあるときに出会う人との思い出はとても強烈なもの。シャルルにとっては出会うべくして出会ったのがマドレーヌなのだと感じました。そしてマドレーヌにとっても。

いや〜人生って甘くない。そう思いました。でも人生って時々こういう宝石みたいな出会いがあるものだなとも。

キラキラ美化された観光客目線のパリじゃなく、タクシードライバー目線のクラクションが鳴り響きドライバーがなじりあう、ただのパリって感じもリアリティがあってよかったです。
Emma

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