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坊っちゃんのsayuriasamaのレビュー・感想・評価

坊っちゃん(1953年製作の映画)
3.6
キャスティングは良かったけど、小説の良さはあまり出ていない気がする?マドンナ岡田茉莉子の幸せ物語

言わずとしれた『坊っちゃん』の映像化作品。キャスティングは絶妙にいい感じ。爽やかで、前向きで、田舎の洗練を受ける池部良坊っちゃんをはじめ、小物過ぎる赤シャツ森繁久彌はこの時代ならではの軽さが最高。マドンナの岡田茉莉子も美しい。そしてお清・浦辺粂子は絵に書いたようなばあやで序盤たのしませてくれました。
山嵐の小沢栄太郎は意外でしたが、学生役に若い佐藤允がいて存在感アリ。

と結構楽しんだのですが、小説の痛快な坊っちゃんらしさよりも、田舎の職員室や社会のヒエラルキーや、マドンナが田舎に囚われている中、都会の風をまとった坊っちゃんに憧れて成長するようなテイストになっていて、身につまされるような鑑賞後感に...赤シャツ森繁の宴会芸にうんちく語りがなかったらかなりつまらない作品でした。

1番眼福だったのは岡田茉莉子と池部良がお祭りの中を連れ立って歩くシーン。レトロなんだけど、古さを全く感じない、タイムレスな美しさにうっとりしました。銀幕のスターですね。
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