ざわ

名もなき人々の戦争のざわのネタバレレビュー・内容・結末

名もなき人々の戦争(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

これはNHKとかでは作れないなぁ。
でもスタッフはほぼ日本人なんだよね。やろうと思えばできるけどやらないんだろうね。
日本の地上波とかで作ると「たくさんの犠牲を払った可哀想なニッポン🥺二度と繰り返さない🥺」みたいな被害者しぐさになるしね。その犠牲を払わせたのは誰?なんてところには絶対踏み込まない。

シビリアンコントロール〜〜〜重要性が一目でわかる〜〜〜。

クーデター・テロの成否や善悪に関わらずその思想をおおっぴらにしてヨイショしちゃいけないってこういうことだからね、聞いてるかな今のメディアくん。

大日本帝国、今の露とほぼ一緒では……。

まんまコンコルド効果。ここまで犠牲払ったらもう辞められないでどこまでも突き進んでいく感じ。

女たちの華美な服装やパーマは国が禁止したわけじゃなく市井の雰囲気でダメになっていったって本を読んだことがあるんですけど、ほんっとに「世間の目」と「自粛」よ……!この時代から何が変わった?
雰囲気に流されやすいところ今もあるけど。

本土決戦で天皇に辿り着くまでに民間人をたくさん殺させて無益だと思わせる作戦ってのが初耳だったのでへぇ〜〜と思った。ガバ理論だけど特攻とかを鑑みるとそりゃそうかってなる。嫌な納得。

具志堅氏のいう「日本軍にとって守るべきものは沖縄ではなく日本本土と天皇制だった」、現代日本も未だにあるあるなのがね……。(沖縄基地問題とその反論でよく出てくる「だって隣国怖いししょうがないじゃん」とかね)
そしてそれを語る彼の表情。

語ってた方も言ってたけど、ほんとこういう時に生死を分けるのが運でしかない。

うちの近所のお寺さんのおじいちゃんはこんなんで死ぬのあほくさいから速攻でソ連の捕虜になって割と良い食事も出てぬくぬく帰ってきたそう。

うちの曽祖父はサイパンのタッポーチョ山も生き延びて玉砕も回避したのに敵にパッタリ出くわして亡くなったみたいだし(遺族に伝えられた情報と私が調べた状況からの推察が正しければ)。木箱に石だけ入って帰ってきたそうだよ。

「今まで兵隊として過ごしてきたのに突然自由に生きなさいって言われて呆然とした」、「進駐軍も親切だしかっこいいし憎しみより親しみを覚えた」って話はそりゃあ三島由紀夫もああなるよなと思った。
突然突き放されて価値観が180度変わるんだから適応できない人だって山ほどいただろうに。
ざわ

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