冒頭、森達也監督のメッセージ映像が流れ「本作品は重いテーマを扱っているがエンターテイメントとしても十分楽しめる映画に仕上っているので、肩肘張らずに気楽に楽しんでください」との事。
その通りの出来で、2時間越えの映画なのに中弛みが一切なく、悲劇的な史実の中に愛憎渦巻く物語が挿入されているあたりは、観終わって『タイタニック』を想起したほど面白い映画だった。ここが本作の秀逸なところで、重いテーマを扱う場合、説教じみたり退屈だったりすると身も蓋もない。
本作がテーマとなっている朝鮮人に対する差別や迫害、殺戮に関してはここで述べる必要のない史実だが、こういう映画が上映できる映画館の少ないことが非常に残念。ナチスのホロコーストを扱った映画には大作もあることを考えると、まだまだ日本で負の歴史に向き合うことは難しい現状があるのかも…
日本アカデミー賞などの賞を受賞することも、この手の映画を周知する上で重要だろうし、受賞できるクオリティーに達している作品だと感じた。
