前情報を入れず、恥ずかしながら事件のことも知らず観た。
もっとインディペンデント映画然としていると思いきや、なかなかどうして知っている有名な演者が沢山おり、長い上映時間も納得の丁寧な語りだった。
「ひとりひとりに名前がある」とはつまり、ひとりひとりに命があるということ。
出生や身分や性別、果てはイデオロギー、付随する属性のようなものを全て取っ払った【個】そのものをまず見ろと言う、ごく当たり前でいて未だ人類に成されない命題が、ある人物から私たちに突きつけられる。
登場する殆どのキャラクターには目下の悩みや不安があり、それから目を背け、他者にぶつける弱さがある。
最たるものは水道橋博士演じる長谷川だろう。
「守りたい」という大義を、自分の存在意義の為に利用する彼は、破滅へ導く呼び水のような役割を果たす。
どのキャラクターのどの弱さに対しても
(こいつどこまで…)と思いながら、何処かに自分を見てしまうようで目を背けたくなった。
人が死んで無いだけで今も同じようなこと起きてるよね。
いや死んでるか。
変わってないのか。
