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正欲のRYOBEERのレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
3.2
展開にやや無理がある。
こういったテーマを描くのに、そのフェチズムを選択したことの意味が薄くなっているように感じた。

自死する程に悩んでいる自身のマイノリティな部分を満たす為に、何故公共物を破壊したり、公衆の目に触れる場で撮影したり、無関係な子を使ったりしようとするのかが正直私には分からない。

「子供を傷付けていない」と言うけど、利用はしてるよね?

(劇中出てくるように)YouTubeの映像でも一応はその欲求を満たせるならば、それは家の浴室や、貸し切りのプールでも可能であるはず。その嗜好を共有出来る者たちだけで。


私は異性愛者ですが、外でSEXすれば捕まるし、無自覚であれ関係の無い他者を実際にその発散に巻き込めば悪。

事の顛末に、別にあなただけが特別社会に冷遇されているわけじゃないよと言いたくなった。


実は冒頭、モノローグが流れた時点でちょっと合わないかも…という予感はあった。

〈この世界を歩いていると色んな情報が飛び込んでくる。あれって、みんな明日死にたくない、死なない人の為のものじゃない?〉

…何を当たり前のことポエティックに言っとるんやコイツは、と思った。

自分がマイノリティである事の生きづらさを、他者は理解のない画一的な存在であると決めつける為の免罪符にしているような描き方の作品は好きではないなと再確認した。
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