たぬー

全身小説家のたぬーのレビュー・感想・評価

全身小説家(1994年製作の映画)
4.0
作家井上光晴の最後の5年間と、彼が語った虚構に満ちた人生の真実に迫るドキュメンタリー。

井上光晴の長女井上荒野が家族をモデルに書いた小説「あちらにいる鬼」を読んで井上光晴に興味を持ち鑑賞。これを読んでなかったら途中で飽きてたと思うけど、読んでから観ると小説の世界が立体的に立ち上がってくる。
井上光晴に魅せられた女たちが井上を語る時の上気した表情はドキュメンタリーならではの迫力がある。
数々の女性との逢瀬を重ねながら不倫関係だった瀬戸内寂聴と、献身的で美しい妻の二人に死ぬまで愛された井上の魅力はなんなのか。
彼が虚構によって隠したかったものはなんだったのか。
生々しい手術シーンには驚いた。
80年代の終わりから90年代の初頭の空気感が懐かしい。
たぬー

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