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正欲のmiuのネタバレレビュー・内容・結末

正欲(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

「普通」を大事にする人が"いなくならない"という「普通」のことを、ままならない"ひとりにならない"ということで返す清々しいカウンターパンチ。「ひとりじゃなくてよかった」って思えるのってやっぱり大きいことで。明日いなくなってもいいやは物心ついた時からずっとある気がするし自分はずっとみんな生命力にあふれてるな〜って人のライフイベントなんかを遠巻きに見ているような感覚でいる。地球に留学する感覚っていう表現がおもしろいと思った。わたしもなんで人間に生まれたんだろうな〜ということがあるから。擬態が上手くなってあきらめて本当のことを口にするのはなかなかできなくて。でもわたしにもそういう人ができて大丈夫って、わかってくれる人がひとりはいるって思えたことが最近あって。ほんとうの意味合いは全く一緒ではなくても、わかるって思えるのってデカくて。人とのつながりって体温ってやっぱりやさしいから、安心してしまうし、あ〜ここにいていいんだって思えるものだよね。心の奥底を開きたいと思えてそれができる人ははたしてこの宇宙にどれだけいるだろう。わたしにとっての地球の真ん中や息がしやすい水の中をじんわり広げていきたいよ。みんなふ〜んそうなんだで過ごせればいいのに。かくれんぼのプロやってるけど人の気持ちや反応を予測しすぎてしまう癖があまりに身についてしまっている。生きやすさを条件反射で選んでしまっているな。それは正しいのかもだけど、少し寂しいことでもあって。多様性ってさ、多様性を認めない多様性もあるわけで、それは結局?ってなってた。サトルフジワラは物事の真理をついていて面白かった。こう見えてる、こうあるべきのラベルと自分のギャップがあればあるほど両方気持ち悪くなってしまうの、もうやめにしたいな。人を傷つけることは別にして、誰が何をどう思うかは否定されるものではないし、誰の理解を得る必要もない。それで今日を生き繋いでいくのなら、必要なことなんだと思うから。
ていうか自分のことも自分ですらわからないのに、誰かに完全に同じ容れ物があるわけがないよね?言いたいこと思ってること感じてることはわかるけど、それはそのひとの人生の文脈で理解されることしかできなくて、価値観も含めでっかい愛でわかるよってなることが一番強い気がしていて。完全に分かり合える人はじぶんも含めこの世にはいない。だからこそ、たましいが近い人を見つけるとうれしいしその瞬間が美しいんだよね。それでいいと思うんだ。
あと、オフィーリアみたいなガッキー良かったなあ。かろうじて浮かんでるけど水自体に引きづり込まれそうな死の匂いがする感じも。
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