ギャス

正欲のギャスのレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
3.3
前半の丁寧さが後半の価値観への共感に効いてくる。あと、孤独感への共感にも。


ネタバレ
見る側が「いなくならないで」「いなくならないよ」の切実さを感じられたかどうか。

人に多大な(少々ならお互い様)迷惑をかけないなら、同意がとれることであるなら、
どんな癖(へき)があってもいいじゃないかと私はそもそも思っているので、その前提が視聴者側に確立されるまでの前半の丁寧さは必要だと思えた。
マイノリティは、小さなこと(それくらいと言われる)から大きなこと(人に言えない)までなんでも我慢させられる人生だ。
つまり本音ではないことを言い続ける、嘘をつきつづけることになる。
真面目で優しくあればあるほど、「嘘をつく自分という存在」と「嘘をつく罪悪感」に自己が傷つき自尊心は削られてゆく。
マジョリティにとってはしなくていい、知らないで済む苦労だ。
人は誰でもきっと、"何かの一面ではマイノリティ"なのだから周り回って自分のためにも「尊重」という態度は大切なのだ。
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