海渡

ウィッシュの海渡のレビュー・感想・評価

ウィッシュ(2023年製作の映画)
4.5
100周年記念てことで、ド直球のディズニースピリットを感じた。タイトル通り、ここまでの色んな作品で大切にされてきた「願い」について。
自分のこれまでのディズニー作品の体験が想起されるような形のものだったし、シンプルな一本の映画というより、そういうディズニー全体としての表現がなされているように感じた。

楽曲はやっぱりThis Wishが良い。アリアナデボーズの歌は本当に良い。
サビの"So I make this wish"って力強くて良いフレーズだなあと思う。この願いを打ち立てたんだっていう宣言的な力強さがこの映画の肝っぽく感じた。

ロサスの人々が18歳になると王に願いを預け忘れてしまうように、確かに大人になって歳をとるにつれ、明確にこうしたいっていう強い願いってか願望が薄まっていくような感覚は自分にもあって、そんな中アーシャやロサスの人々はそういう願いが自分の外に逃げてしまったということに気づいて自らの手で取り返してたわけで。

もちろん願うだけでは何も叶わないけど、まずは自分の願いを心の中ではっきりと握りしめることが大切だっていうことだね。そういうことを考えてると、エンドクレジットで流れる"A Wish Worth Making"の歌詞が沁みすぎて追加で泣いた。というか26歳半ばクォータークライシス真っ只中の自分には刺さりまくる。

過去作品のオマージュが随所に出てきたけど、1番好きだったのはとんすけステップを踏むうさぎ。他にも願いの井戸があったり、完全にラプンツェルのランタンのシーンの構図があったり。あげ出したらキリがない。それ探すだけでも楽しい。

とはいえこういうオマージュはただ楽しいだけじゃなくて、ディズニーが描いてきたこれまでの軌跡を感じさせるような仕組みでもあるように思った。自分もこれまでディズニー作品をそれなりに観て色んなことを感じたり想像したりしたけど、そういう文脈があってこそより今作のメッセージ性は強まるし説得力を帯びてくる。だから余計にジンときた。

アニメのタッチが手書き寄りのグラフィックに変わってて、トレーラー見たときは若干違和感あったけどいざ見たら全然そんなことなくむしろ風景とかめちゃくちゃ綺麗だった。なんか全体的に温かみを感じた。
海渡

海渡