柏エシディシ

ウィッシュの柏エシディシのレビュー・感想・評価

ウィッシュ(2023年製作の映画)
2.0
パブリックイメージの「夢と魔法」に即した設定、水彩画を思わせる新しさと懐かしさを同時に想起させるアニメーション表現とディズニーの伝統に忠実であるものの、悪い意味でフツーのディズニー作品という印象。
スタジオ創立100年の金看板は重たすぎる。
もともと世評ほどクリス・バック/ジェニファー・リー「アナと雪の女王」シリーズが面白いと思ってないのだが、本作でより確信になった、というか。
エンターテイメントの最前線として2010年代を牽引してきた一連のディズニー作品は「こういうお話しだと思ってたら、そんな話なんだ!」「今、そのテーマを語るんだ!」という驚きと感動があったのだけれど。
設定からして普通にディストピアだし、ヴィランもあっさり尻尾を出す。
「願い」の行方という議論にしても掘り下げが甘い様に思う。
そして「みんなで歌って、めでたしめでたしで終わらせちゃっていいの?」という所にオチると批判されがちなディズニー的なモノに今更回帰するのもいかがなものだろうか…
ディズニーを母体としたSWやMCUも2020年を回ってから先行きが怪しくなっており、やや心配だ。

とはいえ。
「ハミルトン」のアンサンブルキャストから「ウエストサイドストーリー」でブレイクしたアリアナ・デボーズ(大好き!)の歌唱は素晴らしいし、ジュリア・マイケルズの提供した楽曲もモダンでフレッシュで力がある。
揶揄しながらも、やはりこういう大見得きったミュージカルが骨の髄から好きな筋としては、やっぱり嫌いになりきれないのもあるし、ディズニーにはこういうのも期待してしまっている自分もいるのだ。
次の100年、ディズニーはどうなっていくのか。なんだかんだ付き合っていく。
柏エシディシ

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