Airi

西部戦線異状なしのAiriのレビュー・感想・評価

西部戦線異状なし(2022年製作の映画)
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レビューにあるように、「1917」を彷彿とさせる。
「1917」は背景の自然がとても美しかった。でもこの映画はどこをみても
塹壕の灰色と血と、叫び声に銃声。本当に救いようのない映画です。
こういう映画って割と会話が英語でズコーっとなりますが、
ドイツ語で話していて臨場感がさらに増します。正直ラスト15分は
面と向かって観られませんでした。辛すぎて。

物語は1人の少年パウルから始まります。
明日から兵士だ〜かっこいいだろ〜くらいの
テンションで出兵します。が、すぐに現実を見ることに。
この時のパウルの目の色が忘れられません。この映画で一番と
言っていいほど印象に残っています。
もう、この時からパウルは目の輝きを失います。

銃を持つ兵士も冷静さを取り戻せば1人の人間。
普通の社会生活を送り、家族もある、当たり前の日常が突如として奪われる。
それが戦争。時として人間臭さが漂い、心に訴えかけてきます。
血みどろの戦いをしている最中、上官は紅茶を嗜み、煙草を蒸す。
そのコントラストが辛くて、辛くて。

きっと、というか確実に今のウクライナ、ロシアでも同じことが起こっている。
今、この映画を公開した理由はそこにあると思う。し、ドイツはWWⅠで敗戦し、
ヒトラーという怪物を生み出し、10年後にはWWⅡを仕掛け、ホロコーストを起こす…数々の負の歴史を経験してきたドイツが作った映画だからこそ
重みがある気がします。

こうして私がこの文章を打ってる最中も行われている戦争。
どうすれば戦争はなくなるのか、私には答えがわかりません。
なぜ人間は同じ過ちを繰り返すのでしょうか。。。?
この映画はそれを考えさせてくれます。たくさんの戦争映画を観てきましたが間違いなくトップに入る作品です。是非。
Airi

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