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情無用のジャンゴのrollinのレビュー・感想・評価

情無用のジャンゴ(1966年製作の映画)
4.2
コルブッチmeetsホドロフスキー

マカロニウエスタンの代名詞「ジャンゴ」の名を冠してますが、この子は兄弟の中でもかなりのクセ者。酒盗とかくさやみたいな子。だから好きな人は凄い好き。僕です。

ストーリーは、キリストが町にやって来て、人間のあまりの欲深さにウンザリして帰っていく、それだけ。

しかしこの映画の一番の見所は編集。ベルナルド・ベルトルッチの一連の作品を手掛けたフランコ・アルカッリによる編集。
画面を上下逆にしたり、イージーライダーのようにチカチカとフラッシュバックを入れたりと、マカロニウエスタンでは珍しいニューシネマ風な編集が最高にシュールでクール。逆光や砂、全体の淡い色調も美しく、血の色まで淡いという徹底ぶり。
あとはカムイ伝の正助や権を思い出させる残酷な仕打ちもどうかしてるレベルやけど、でもこれはジュリオ・クエスティ監督がレジスタンスとして戦争で経験した恐怖を表現したそうやから、決して単なるメタファーでは済まへんってことやね。

そしてトーマス・ミリアン。
店の棚に並んだ帽子に合わせて頭を上げていちいち被ってるように見せるお茶目さを出しつつ最高にカッコいい!
これぞマカロニウエスタンの懐の深さよ。ファシストやホモセクシャルといった要素を取り入れ、金に溶かした芸術作品。金は鉛より深く食い込むらしい。
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