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マンティコア 怪物のはなのレビュー・感想・評価

マンティコア 怪物(2022年製作の映画)
1.8
予告編で興味を引いたので観た。人間の内面に潜む狂気性みたいなものがテーマのサスペンス、というような気持ちで劇場へ向かったのだけど、蓋を開けてみると、ゆるいラブストーリーのようなパートばかり長々と続き、なんだろうこれはと思いながら観ていた。主人公はCGでクリーチャーを作るアーティストで、文字通り怪物を描くシーンが多く挟まれるので、少しづつ内面が怪物へ変化していく様を重ねている、のかと思いきや、どうもそういう描写にしたいわけではなさそう。なんだこの映画。
ラスト15分くらいでようやく「怪物」になった主人公の姿が現れ、シーンまるごとワンカットで犯行が描写されるのはスリリングで、紛れもないこの映画の見せ場であったと思う。
映画の伝えたい意図は理解した上で、僕としてはどうしても思ってしまうのは、『主人公の彼、そんなに怪物ですか?』ということ。 うちに秘めたアンモラルな部分なんか誰しも持っているはずで、どうしてあそこまで主人公は疎外されてしまったのだろう。 僕だって彼くらい若い頃はあらゆる方向にエネルギーを放っていて、脳内で何人も人を殺したし、建物や電車をいくつも破壊したし、レイプだってした。
多かれ少なかれ人ってそんなものなのだと思っていたけど、意外とみんなはそんな事しないのだろうか。僕は怪物と呼ばれるような人間なんだろうか。 そういう事を考えた。
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