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ザ・ストレンジャー:見知らぬ男のlanouvelleluneのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

カンヌでのインタビューでエドガートンが語っていた
「物理的暴力を浴びせることだけが『暴力』ではない。暴力が潜在する状態も『暴力』のうちに入るし、時には物理的暴力よりも暴力的だ(要約)」
がこの作品をよく表している。
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エドガートンとハリス、絶対に勝つ組み合わせ。スクリプトや音楽、ライティング、色彩の使い分け等どれも良いけれど、やっぱり役者が彼らだからここまで面白いんだと思わざるを得ない。
そもそもの情報量が割と多いし、更にこのテンションを保ちながら着地させるのがどれだけ大変か想像するのが怖い。特に、喋らずに表情変化だけで演技するパートが続くとなると、役者も監督も煮詰めただろうな。ハリスの眼がlegitヤバくて、btsを見たいような見たくないような。covid対策で撮影前に隔離されていた+毎日部屋に警察がチェックしに来たことが吉と出てマインドセットを組めたらしいが、それにしてもこれは...。
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終盤、自分への情けなさ、信頼されていなかった悲しさ、証拠が見つからない悔しさ、ここまでやって?という虚しさ、全てが詰まった涙を流すのが上手すぎるエガートン。嘘をつかれたことが ”悔しい” のと ”悲しい” のは全く違うわけで、そのどちらも垣間見えるのがとても良い。『マーク』に乗っ取られたことが分かりやすく伝わる。こういうレイヤーが作られていくのを観察するために、もう一度観たい。
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