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新婚道中記のslowのレビュー・感想・評価

新婚道中記(1936年製作の映画)
4.2
お互いに浮気を疑い別居中の夫婦。疑心が何となく事を運んで行き、90日後に離婚することが裁判で決定する。そこで2人が争うことになったのは、飼い犬スミスの親権。スミスは他人だった2人がペットショップで一目惚れした犬であり、飼うのなら一緒になろうと結ばれるきっかけとなった、言わば可愛い我が子のようなもの。裁判長はお互いに譲らないのなら、どちらについて行くかスミスに選ばせようと提案する。

裁判長の提案がもうちゃんとコメディしてる。もっと争うこともあるでしょうに。パルム・ドッグ賞がこの時にあったならば、本作のスミスの妙演はそれに値すると思う。それくらい芸達者で愛らしかった。ケイリー・グラントは晩年の作品しか観たことがなかったので、若い頃の姿がとても新鮮。アイリーン・ダンが時々松野明美に見えたのは、きっと自分の気のせいだと思う。きっとね。
TVドラマで『最高の離婚』という作品があったけど、それの海外版といった感じ。コメディ色は強めだったものの、やや風変わりな登場人物、動物を介しての夫婦のやりとりや台詞のニュアンスなんかも近いものがあった。タイトルも『最高の離婚』で違和感なくしっくりくるかも。
コロコロ変わる場面と表情に一喜一憂。その行く末を案じる暇がない程、矢継ぎ早に展開されるロマンティック・コメディ。
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