ひでG

聖なる証のひでGのレビュー・感想・評価

聖なる証(2022年製作の映画)
4.1
フローレンス・ピューが観たくて、複数の候補ネトフリ作品の中からチョイス!
偶然みたいに選んだ作品がとても良作だった時の喜びは大きいなあ!

昨日観た「砂の惑星 PART」にも重要な役で出演していたフローレンス・ピュー。
この先、「オッペンハイマー」でも彼女を観ることになるだろう。
そんな彼女の2022年、「ストーリーオブライフ」やマーベル映画の後に本作に出演。
彼女の出演作選びの鋭さが分かる。

アイルランドとイギリス(アメリカも)の合作。

1862年、日本では幕末の頃、アイルランドの地方の小さな街。
その10数年前、ジャガイモの凶作に端を発したアイルランド大飢饉。死者が150万人、飢饉を逃れて国外へ移民者100万人。
一気に国土は寂れ、人々は自信を失ったそんな爪跡が残っている時代の話。

この映画に描かれるアイルランドの風景は、静かできれいだが、どことなく寂しい。イギリスからやって来た看護師リブ・ライトの眼にもきっとそう映ったに違いない。

彼女は、この村に住む11歳のアナを2週間観察するという仕事のためにイギリスからやって来た。
その少女は、天の恵みにより4ヶ月何も食べずに生きていて、敬虔な村人たちはそれを奇跡と崇めていた。

フローレンス・ピュー演じるリブがこの村にやって来る描写からもう惹きつけられます。依頼内容や都会からやって来ているという不安以上に、彼女は終始、不信感を抱いたくぐもった表情。フローレンス・ピューが行く所は常に怪しい。ここら辺は彼女の最も得意とするシュチュエーション!

家族が揃った食卓でもアナだけが全く食べず、さらに村の長老たちはリブの仕事にも嫌悪や不信感を露わにします。
リブはアナを散歩などで接点を持ち、打ち解けていきますが、、食事することには強く拒みます。

果たしてアナは本当に奇跡なのでしょうか?
四面楚歌の中、リブはどうなるのでしょうか?

観終わって、改めて思ったのですが、
僕は、こーゆーテーマが大好物なんだということを。

岩盤な集団(多くの場合宗教が絡むものが多い)に、外から来た者、あるいはずっと内に居た者が不信感やエゴから反逆していく。
それまで微動だにしなかった組織やコミュニティに混乱が生じてくる、、
こーゆー展開、大好物!
昨年のマイベスト5に入った「ベネデッタ」(本作とはかなりテイストが違うけど)も大大大好きだった。

科学的に少女の秘密を解明しようとするリブ。
それに対して、少女を奇跡と神格化する家族や村の有力者たち。
この対立は、当時のイギリスとアイルランドの関係と置き換えることもできるかもしれない。

「このままではアナが死んでしまう!」と訴えるリブ。
「死んで神様の元に召されるのは最高の幸せ」とそれも厭わないアナの母親。
何という価値観、人生観の違い。恐ろしい対立!
さあ、フローレンス・ピューはどうする?
君なら決して諦めて帰ることはないだろう、
緊張感でグイグイ引っ張っていくセバスディアン・レリオ監督の力量は素晴らしいと思う。

物語の締め方もグッド👍
一方的な判断ではなく、本当にこれで良かったのかな、と判断に迷うゴールもやっぱり好き!
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