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梟ーフクロウーのmendeのレビュー・感想・評価

梟ーフクロウー(2022年製作の映画)
4.1
<盲人だが見なかったことにはしない!>
ポスターがホラー映画のようでちょっと敬遠していたけど、しっかりした韓国時代劇。盲目の鍼治療師の主人公(リュ・ジュンヨル)が宮廷の医師となり、陰謀に巻き込まれる。
李氏朝鮮時代の話だが、韓国の歴史についてほぼ何も知らない私。どうやら『天命の城』の後の話らしい。
清の圧倒的な戦力の前にやられてしまった朝鮮。王である仁祖(ユ・ヘジン)の屈辱はずっと続いていた。王様をユ・ヘジンが演じているのに驚いたが、素晴らしかった。鬱屈を抱えていて高潔とはいいがたいが、王としての格はちゃんとある。
盲人でもあり、格下に見られることが多い主人公が宮廷医として取り立てられる。貴人たちのことは、見ざる聞かざる言わざるという姿勢で自分を守っていた主人公だったが、次第にその姿勢を変えていくのがこの作品の肝。知ってしまったことをなかったことにできなかった。特にある所で踵を返す場面は胸を打つ。
主人公が盲人で、夜のほの暗い場面が多い。きっと家のテレビで見るとぼやけて見づらいと思うので映画館で見てよかった。
決してホラーではないが、後半は緊張感がずっと続き、歴史を知らないので誰がどんな運命をたどるかもわからず、かえってサスペンスが高まった。面白かった。
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