たらこパスタ

ソングス・フォー・ドレラ 4Kレストア版のたらこパスタのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

これは!!!!めちゃくちゃ好きだ!!!!!!

パフォーマンスも音もシンプルで研ぎ澄まされていてとても美しかった...最高だ......歪みのある(?)音がめちゃくちゃかっこよかった....

Lou ReedさんとJohn Caleさんがそれぞれ楽器を押したりはじいたりする様子を見ながら演奏の緻密さに圧倒されます!非即興的な繰り返し動作の中に、歌詞にある情景へ現在の2人の視点が滑らかに接続されて行く様子が想起され、2人の視点を通過してAndy Warholさんの物語と回想を観ているようでした。
のちに知ったのですが歌詞の中には架空のストーリーもあるみたいです。めちゃくちゃ余談ですが、このことと、2人の演奏スタイルを見て思ったことがあり。演奏以外でも、ダンスとか劇とか、スコアやコンテで設計した動きを反復しながらスコアやコンテのインプットをアウトプットしていく時、そこに乗っかる感情の再現とかストーリーにおける実在感がスコアで指定されたかたちを保ったままキャスト自身から出てきた(多分)再現ではないものになることが、それまでに蓄積された反復運動によって実行可能になる。みたいなことがあるのかもしれないな〜などということを考えました。

写されている2人の演奏スタイルは楽器と共に板付けで、基本的には観客側・カメラ側を見る機会が少なく、そして2人の間にはやや距離があり、それぞれの閉じた空間をお互いに持っているように見えました。この引き算され尽くしたようなシンプルさが美しくて、音と歌詞と時折感じる2人の主観に心酔します!
この映画を観た時点でお2人とAndy Warhol さんの経緯は知らなかったので、前後にある文脈ほぼわからないのにアイコンタクトをする瞬間がぐっときました。

Velvet underground の音楽をもっと聴きたいと思ったしAndy Warholさんのことももっと知りたくなりました。そしてこの映画もまた観たい!

追記
前述した反復についての所感は8曲目のimagesで語られている内容からも想起されていたのかもしれないです。繰り返すイメージ、アウトプット、それらは繰り返す過程で繰り返した対象を相対的に捉えることができるという側面が存在していそうな気がします。イメージやアウトプットが与える感情を引き出す際に、限りなく小さい単位を探ることができそうだし(チューニングみたいに)、同時に単体では潜在的であった事象が微妙なずれを持つ複製からより克明に可視化されてくる感情がありそうだなと思った!


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2023/1/9 再鑑賞!!!
以前この作品を観た後、velvet underground のアルバムをいくつか聴き、Lou Reedさんソロのアルバムも聴き、めちゃくちゃハマり.......
そしてLou ReedさんとJohn Caleさんの関係の変化も断片的にですがちょっと知りました。

それを踏まえての再鑑賞で、歌詞の内容やお互いの視線についてより没入観を感じてとても最高でした!

いくつか感想を追記します。

再鑑賞して思ったのは思ってた以上にLou Reedさんの視線が楽器か斜め下の空間に向いているということでした。そして対照的にJohn Caleさんは頻繁にLou Reedさんのことを確かめながら演奏しているたんですね。顔のアップでうつされていない先に向ける視線だけが映る時、その視線の先にある余白に歌詞の内容や2人とAndy Warholさんと共有した時間の存在があることに心が動かされます。
A Dreamではそれまで特徴的だったワンフレーズの反復が用いられず、John Caleさんがボーカルを務め、Andy Warholさん視点でファクトリーに集っていたメンバーについて語ります。終盤になりLou Reedさんについてのわだかまりが明かされる際のJohn Caleさんの肩越しのLou Reedさんを捉えるカメラワークの引力が凄まじい....その後彼へのリスペクトを伝えJohn Caleさんの手元がうつされる流れがめちゃくちゃ美しいです。
あと、ワンフレーズの反復の歌詞は反復する中で徐々にそのフレーズの初耳の情報処理に捉われずにフレーズを聴くことができるようになっていき、行間やその言葉のもつ味わいに意識を持ってく余白が生まれる気がしました。
Andy Warholさんに2人から捧げる最後の一曲が自然体でシャイなようなぶっきらぼうなような感じでまた素敵なんです...!

2023/2/7再び鑑賞、感無量
初めて鑑賞してからVUとアンディウォーホルさん、その周辺の人物や当時のニューヨークについて色々興味をもち、歌詞の中や背景に映る映像の人物などが誰かわかるくらいの状態で鑑賞。
元々魅力的な曲であるのは間違い無いのですがopen houseとslip awayが聞けば聞くほど好きになる!!!
A dreamでギターの重厚感のあるブゥゥゥゥンってところ、音源で聴くよりもより静かな迫力があり心を奪われます!!
この作品毎回興奮気味で感想書いているため完全に書き忘れてましたが、タイトルバックがめちゃくちゃにかっこいい。
何度でも見直したいよ〜

2023/03/12
2023/03/15
2023/09/01
たらこパスタ

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