映画狂の詩

薔薇の名前の映画狂の詩のレビュー・感想・評価

薔薇の名前(1986年製作の映画)
3.5
こういう相棒モノってなんか新鮮でイイ。40歳くらい年の離れた師弟が殺人事件を解決するっていう。しかもハリウッドの「48時間」とか日本の「相棒」みたいにお互いが補いあって事件を解決するという感じではなくて、デキる師匠に弟子が必死にしがみつく、という感じ、そこがまたイイ。

とにかく見習い修道士アドソ(クリスチャン・スレータ)が可愛くて小動物見たい、というか…全編通して暗めの雰囲気なんだけどそこに指した一筋の光明という感じでホッコリさせてくれます。

そんなアドソと共に、持ち前の頭脳と行動力で真実へ近づいていく、修道士ウィリアム(ショーン・コネリー)。このウィリアムも頭脳明晰かつ様々な経験を積んだ、頼れる大人のオトコ、なんだけど恋愛沙汰には…で、アドソが村娘と恋に落ちてしまった際も、「私は知識に恋してる」なんていう始末。アドソとは違う風に、目が離せない 笑

私がとりわけ見事だと感じたのは、中世の図書館の描写。隠された図書館をウィリアムが見つけ出した際は、思わず一緒に喜んでしまいました。
あの時代、目を通せる本は厳しく制限され、まして自由に手に取ることなど知識層ですらありえなかったあの時代だからこそ、知識欲というのが現代とは比べ物にならないほど大きかったのでしょう。
切羽詰まってる状況なのに、知識欲が優って本を手に取ってしまうウィリアムの行動も納得できます。

最終的にこの映画が何を伝えたかったのか…やけに多い登場人物、いまいちピンとこなかった犯人の動機、中途半端な恋愛描写などのせいで分からずじまいで、そこだけが残念でした。
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