映画狂の詩

レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまでの映画狂の詩のレビュー・感想・評価

4.4
「自分だけは特別」って誰もが抱く感情だと思う。そんな根拠のない自信に本気でしがみついてしまう夫婦の物語。

ケイト・ウィンスレットとレオナルド・ディカプリオの扮するウィラー夫婦は、コネチカット州の郊外に住む夫婦。

夫は毎朝仕事へ行き、妻は家事をし子ども達を育てながら夫の帰りを待つ毎日。そんな毎日から脱するため、ある日妻はこんな事を口にする「パリで暮らしましょう。2人の憧れの街で」

誰もが一度ならず抱くであろう「ここではない」感。抱いたとしても日々の暮らしに埋もれて消えてしまいそうな感情にしがみつき執着する妻と、困惑する夫。
そして歩み始めた2人の夢への第一歩、のはずなのに。それは決して明るく照らされたものではなく、どこか昏くて物憂げ。

異質な2人の世界を、監督サム・メンデス、音楽トーマス・ニューマン、という「アメリカン・ビューティー」コンビが美しく切り抜いている。

そして何より主演2人の名演技が、ウィラー夫妻の異質な関係を見事に再現している。時に本物の夫婦かと見紛うほどの2人の空気感を一度は感じてもらいたい。
映画狂の詩

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