映画狂の詩

恋する惑星の映画狂の詩のレビュー・感想・評価

恋する惑星(1994年製作の映画)
4.1
まだイギリスの統治下にあった1994年の香港が舞台。ごちゃごちゃとビルや屋台が立ち並び、人であふれる混沌とした九龍で繰り広げられる、スタイリッシュな恋愛群像劇。

第一部、失恋したばかりの警官223号(金城武)の物語は、全体的にブルーなカラーと、激しく移動しながらのカメラ―ワーク、夜の時間帯、というようにクールに表現されています。そのクールな雰囲気に象徴されるかのように、彼はドラッグディーラーとの行きずりの恋に落ちます。

第二部は気になる男の家に忍び込み、モノを買い込んでは勝手に少しずつ模様替えしていくストーカー女(ド直球)の恋模様。こう書くとただの危ないやつですが、演じるフェイ・ウォンが素敵で!なんだかストーカー行為もじっくり愛を育んでいるように見える不思議 笑。一部と違って、パステルなカラーとポップなミュージック、時間帯も太陽が昇っている時間、という雰囲気もあるのでしょう。
あと、ストーカーされる男(警官663号)を演じるトニー・レオンがとにかく素敵! 一部の金城武もイケメンでかっこいいんですが、トニー・レオンの懐の深さには本当に憧れます。ストーカー女の性格上、なかなかどうして微妙な着地点だったにも関わらず、彼なら大丈夫と幸せな気持ちにさせてくれます。

欲を言えば、群像劇という形にするなら、一部と二部のつながりをもっと示した方がよかったのではないか、と思うのですが、別の映画『天使の涙』が第三部ということなので、そちらも鑑賞してみようと思います。

ハリウッド映画のように分かりやすくなく、かといってヨーロッパ映画のように視聴者を置き去りにすることもない、非常によくできた映画です。
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