映画狂の詩

普通の人々の映画狂の詩のレビュー・感想・評価

普通の人々(1980年製作の映画)
3.8
紅葉、教会での合唱から始まるオープニング。牧歌的な映画と思いきや、直後汗びっちょりで目覚める主人公の姿で、この物語、そんな安穏とは進まないという印象を受けました。

そのファーストインプレッションの通り、生半可な家族モノ映画ではありません。まず、ティモシー・ハットン扮する主人公のコンラッドはとある理由から、自分の殻に閉じこもり周囲に対して心を開けません。その両親も似たような感じ。「普通の人々」というタイトル通り(裕福ではあるけど)、普通に学校に行って普通に仕事して普通に家事をして、だけどどこかぎこちなさがある家族。

やがてとある転機から、主人公が少しずつ殻を破って両親に愛を示し始めます。そしてそこで、愛に飢えているのが主人公だけでなく、両親もそうだったんだということが分かり始めてくる。
メアリー・タイラー・モーア扮する、母親のべス・ジャレットがかなり曲者で、何度も息子の愛に応えてあげてよ!とやきもきさせられました。

父親のカルビン・ジャレットを演じるドナルド・サザーランド、彼の演技を初めて見たのですが、大柄でなおかつ稼ぎのある弁護士という役柄にも関わらず、息子や妻との距離感がつかめないサエない父親役を見事に演じられていました。自分の父親もこんな感じで接していた時期があったので、「ごめんな、父さん…」なんて考えながら 笑

愛って難しい。送らなきゃ当然伝わらないけど、送ったからと言ってそれが100%伝わったり、帰ってきたりするかは分からない。でも送った先には必ず答えがある。この映画のジャレット一家も、各自の答えを出します。
家族愛、友愛、恋愛…すべての "愛" に悩む人に観てほしい映画です。
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