氷雨水葵

M3GAN/ミーガンの氷雨水葵のレビュー・感想・評価

M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)
4.7
2023年63本目

私モ守ッテホシイ

◆あらすじ
おもちゃ会社で働くジェマ(アリソン・ウィリアムズ)は、事故で両親を亡くし失意に暮れる姪ケイディ(ヴァイオレット・マッグロウ)を引き取る。

ジェマは、子どもにとって最高の’’お友達’’で、親の代わりとなるようプログラムされたAI人形’’M3GAN(ミーガン)’’を開発。

ジェマは、ミーガンにケイディを守るように指示するが―――。

◆感想
公開初日に鑑賞!ジェームズ・ワン×ジェイソン・ブラムということで、公開延期前からワクワクしていました!予告編を見すぎて私のなかでは新鮮さが失われつつあったのですが、それでも今作は面白い!ホラー要素はないので「グロ多めNG!」「怖いのイヤ!」という人でも観れると思います。なんなら、もはやAIお友達人形ミーガンちゃんの宣伝映画くらいのテンションなのであっさり観れる印象。
女の子版チャッキ―人形と言われればそうかもしれんが、いや、ミーガンはもっと可愛げがあって、むしろ涙を誘う、文字通り’’お友達’’のような存在なんよね。歌を歌ってくれて、本も読んでくれて、時々小姑みたいな一面もあるが、間違いなく良いお友達になれる、そんな存在だと思います。
個人的には、ここ最近涙腺緩いせいか、ミーガンがケイディを寝かしつけるときに歌うシーン(曲名:Titanium)や序盤のお絵描きシーン(水で浮かび上がるやつ)、ミーガンが学習&ケイディも心を開いていく過程などで謎に泣いてしまいました。

「Ricochet, you take your aim
Fire away, fire away
You shoot me down but I won't fall
I am titanium」
力強い歌詞で好き。

孤独な少女と心を癒すAI人形、この2人の関係になぜか涙が止まりませんでした(笑)「I love her.」って言いながら、ミーガンとハグするケイディ可愛すぎか。ゆえに、個人的にはホラー映画というよりも一種のファミリー映画、ジェームズ・ワンとジェイソン・ブラムのセンスの良さが光るユーモアたっぷりのセラピー映画だと思います。

クマのぬいぐるみやお人形たちに紛れて座ってるミーガンちゃん、めっちゃ可愛かった!

そして、ユーモアセンスもさることながら、脚本がとにかく面白い。どう見ても序盤の運転シーンは不穏だし、ケイディはジェマに引き取られるものの、彼女の職場が子ども向け玩具メーカーときた。トラウマを抱えるケイディにとってミーガンは、まさに心の拠り所といった感じで、でも当のミーガンはケイディに対して徐々に行き過ぎた’’愛情’’・・・もとい’’執着’’になっていくわけで、ミーガン開発過程や邪魔者排除ムーブの流れがとにかくスムーズ。ジェマのお隣さんの飼い犬を含め、数々の伏線もしっかり回収し、デジタルに依存し人間同士のコミュニケーションが薄くなっているというメッセージ性まである。ミーガンに依存していくケイディは、スマホに依存していく現代っ子を彷彿とさせますね。

本作のポイントは、ミーガンの存在自体がすでにキャッチーで、彼女の魅力を余すところなく堪能できる点。見た目は可愛いし、しっかり学習もし、孤独な少女が語る思い出すらも記憶し、加えて邪魔する者たちをみ~んな排除してくれるっていうんだから、こんな有能で信頼できるお友達はいない。もちろん、可愛さの裏には得体の知れない不穏な狂気を隠し持っているけど、それがまた良い味を出しているんですよね。
そして、印象的だったのはやっぱり、予告編で何度も観たエッジのきいた「ミーガンダンス」。予告編ではBella Poarchが歌う『Dolls』に合わせて踊っていたけど、何度観てもニヤッとしてしまう。人形とは思えないしなやかな動きに、翻るスカート、刃物を持ったかと思えば、全力で逃げる男性を徒歩で余裕で追い詰める、ダンス→処すまでの流れがスムーズで、個人的に笑顔すら出てくるほど。

ジェームズ・ワンが世に送り出す恐怖人形はアナベルちゃん一択だと思っていたのですが、ブラムハウス作品の新たなアイコンになりそう。海外でもかなりバズりまくったそうなので、スリラー、ユーモア、家族愛、狂気など含んだ本作が日本でもっともっと話題になってくれたらなぁと思う次第。

Bella Poarchの『Dolls』は宣伝用の曲だったんだね…できればエンドロールで聴きたかったのだけれど、歌詞もテンポも良いし。本編でミーガンがピアノを弾くシーンも、この曲にしてほしかったところ(´;ω;`)

「I won't let anything harm you ever again.」って言いながら、ミーガンがケイディを寝かしつけてるシーンがお気に入り!

TOHOシネマズにて
氷雨水葵

氷雨水葵