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炎上する君の8637のレビュー・感想・評価

炎上する君(2022年製作の映画)
3.5
歌舞伎的で焦燥感あって混沌でシュール。これぞふくだももこ監督の味だなと思った。単純なうらじぬの×ファーストサマーウイカの妙だけじゃなく、西加奈子の語り口だけでもなく、それぞれが持つ突飛さがうまくハマった感じ。
そして"脇毛"や"炎上"はいくつもの意味で掛け合わされている。やむを得ず個性を潰せと半ば強いる社会で躍動する二人の姿が、熱い(けど結局は滑稽なのか?)。

観る人が"女性の脇毛"についてどう思ってるかによってもだいぶ変わってくるよな、この映画。
無感すぎる自分は「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」でありのままである女性が脇毛を生やしている様子を初めて観たのだが、それくらい社会から退けられるのが当たり前になったって事だし...

個性を表していこうと表面上は言うものの、結局は見た目や偏見が全ての世間。
衝動から出た踊りを"炎上"で消化させず、昇華させた彼女たち。普遍的な炎上との差はどこにあったのだろう。炎上から変える事に成功できなかった人もいる中で。
それでいて結局は"見た目"で炎上に帰結させてしまうという面白さもあった。
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