りっく

ピラニア 3Dのりっくのレビュー・感想・評価

ピラニア 3D(2010年製作の映画)
4.2
エロとグロによる緩急のついた展開。
不気味な静けさと大音量BGMによる雰囲気作り。

たとえB級映画だろうが、やはり作り手が見せ場をどう見せていくか。
その技術あってのこそのパニック映画だと改めて感じる。

特にエロとグロが渾然一体となった浜辺のカオス感。
まるで地獄絵図のような光景に、不思議と気分も高揚してくる。

ただ、いくらエロとグロが強調されても、あまり嫌な感じがしない。
それは、エロにはしょうもない馬鹿馬鹿しさが、グロにはナンセンスでブラックな笑いが、それぞれ付随しているからだろう。

本作では、登場する人間が深く掘り下げられることはない。
むしろ、掘り下げられるほどの深みがない人間たちが、次々とピラニアに襲われていく。
だからこそ、観客は登場人物に想い入れがない分、引いた視点で本作を鑑賞することができるのだ。

そのことは決して欠点ではない。
しょうもなくて、バカな人間たちを、まるで嘲笑うかのように見下ろすこと。
そのドライな視点こそが、本作の正しい鑑賞法だと思う。
りっく

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