幕のリア

愛と哀しみのボレロの幕のリアのレビュー・感想・評価

愛と哀しみのボレロ(1981年製作の映画)
4.2
午前九時過ぎに始まった"午前十時の映画祭"

パリ、ベルリン、モスクワ、ニューヨーク。
それぞれの国で音楽に携わる男女が世界大戦に運命を翻弄されるそれぞれの物語。

フランス人から見たナチス、ドイツ人、ロシア人はある程度フェアに描かれるが、グレン・ミラーがモデルとなったと言われるアメリカ人については大きな痛みを伴わない共感できない相手として描かれている点が面白い。

冒頭の引用で、
人生なんてそんなに何種類もあるわけじゃない、
だいたいがおんなじ事の繰り返し、
なんて、フランス人らしい皮肉を込めて嘯く。

その嘯きが、後半の群像劇の大団円に至るまでの、膨大な蛇足にそのまま跳ね返って来ているようだが、それはまさか監督の意図ではあるまい。

戦後の群像劇は一人二役起用もあり、描き方がまどろっこしく感情移入が難しいが、その整理がつかない様も戦後の歴史を辿る中で単純な視点を許さないようで大変面白い。

エッフェル塔の前でのチャリティ"ボレロ"の後の赤十字の車列がセーヌを渡る様子がただならぬ圧力を感じさせる。

それにしてもアメリカ人ポピュラー歌手の"ボレロ唄ってみた"はなんなんだろうか?
ギャグにしてもキツい。

感動よりも畏怖や困惑をもたらす作品。

完全版は288分と更に100分長いらしい。
死ぬまでには確認したいが戦後パートの付け足しなら勘弁。

〜〜

今日の一曲

カラヤンをモデルとした登場人物もいるが彼だけに焦点をあてた作品はあるのだろうか?
小学生の時に近所のレコード屋でカラヤン指揮のカセットを買ったことありその時に貰ったカラヤンの白黒ポスターを部屋に貼ってたことアリ

Ravel: Boléro
Karajan/BPO (1981 Live NHK-Hall, Tokyo

https://m.youtube.com/watch?v=nReTWp1GWgM&pp=ygUY44Kr44Op44Ok44Oz44CA44Oc44Os44Ot
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