456京都公式

ゴジラ-1.0の456京都公式のレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
5.0
太田澄子の
「偽善者ぶって!」というセリフは大間違いである
「善人のふりをするな!」
あるいは
「この偽善者が!」
で良いのである
こういった言葉の誤用や違和感がやたらと気になってしまって
作品に没入できなかった
ト書きは良いのだがセリフが練れていない脚本だった

ゴジラの腕が長すぎるのは大間違いである
せっかくのVFXなのに
陸上での動きが着ぐるみ以上に人間的で
プロレスラーにしか見えないのである
そもそも着ぐるみやミニチュアが存在しないので
全身のプロポーションがわかりにくく
ほぼ海の中にいてることもあって
最後まで主役(ゴジラ)がイメージしにくいのだ

そしてその海が大間違いである
これまでにも山崎貴監督の海(軍)の映画を観てきたけど
海の持つ生命感や深みや恐怖が今ひとつ感じられない
円谷英二監督の寒天の海のほうがよっぽどそれらが伝わってくるのである

敵としてのゴジラについてかたくなに「未知の生物」と言い続けるばかりで
だれもなにも調べようとしないのは大間違いである
そのせいでわだつみ作戦が
ゴジラ対日本(本土防衛戦)ではなく
ゴジラ対敷島浩一に矮小化されてしまった
「永遠の0」のメタバースになってしまった
言わば「永遠の-1.0」なのだ

ゴジラに電車が襲われたとき
大石典子にトムクルーズばりのアクションをさせていたのは大間違いである
やるなら「キンゴジ」の桜井ふみ子(浜美枝)ぐらい叫ばせればいいのだ
そもそもこのキャラクター必要ですか?
ラストシーンに例の皮膚を出したかっただけですか?

太平洋戦争に負けて
武装を解除され
自衛隊も日米安保もまだない
つまり歴史的に日本の防衛力が一番脆弱な時代に舞台を設定したのは大正解である
腕に覚えがあるそれなりの集団とは言え
民間人が結集した力を借りて
敷島浩一が
死にたくない気持ちのせいで負った心の傷を
死ぬことを回避して乗り越えたのは1ミリもブレない山崎貴イズムですね
大変美しい物語だと思いました

あと言うまでもなく伊福部音楽は大正解の大正義である