このレビューはネタバレを含みます
黒の組織が出てくるとやはり面白い。組織の面々もみんな期待通りの役回りで動いてくれるのでコレだよコレ! という気持ちになる。
また、赤井と降谷がそれぞれFBIと公安の立場で話しながらも、組織のコードネームで呼び合うシーンは熱い。二台のスマホを使い、(降谷からやや一方的に)軋轢のある二人がコナンを介することで協力的になり得ることを象徴的に見せる描写が巧いと思った。
カーチェイスのシーンで流れる音楽は菅野祐悟の真骨頂。ウォッカ達の車が飛び降りコナン達がブレーキをかけると音楽も止まり、コナンが追って飛び降りると音楽も再開される流れがあまりにも良くて何度も見たくなる。
終盤には『14番目の標的』におけるコナンと蘭のファーストキスのセルフオマージュと思われるシーンがあり、思わずテンションが上った。蘭とのファーストキスは長いコナン史の中でも印象に残るシーンの一つだと思うので。それを今度は哀ちゃんがやるのかと。
その哀ちゃんが子供たちのおかげで変われたと言うのは、コナンも含むかもしれないが主に光彦・歩美・元太のことを指していると思う。特に彼らが哀ちゃんを救った事件といえば、『天国へのカウントダウン』の脱出シーンを思い出す。言及されている割に彼らは本作では早々に帰ってしまって活躍しないため、未視聴なら是非『天国へのカウントダウン』も見てほしい。
私はさほどコナンに詳しい人間ではないが、それでもこうした昔からの視聴者には感慨深く感じられるような描写がさり気なく含まれているところは非常に好感を持った。
手放しに褒めたいところだが一つだけ、ピンガの正体が分かりやすすぎたのでもう少しひねりが欲しかった。
公式サイトにもFilmarksにもピンガ役の声優さんはクレジットされていないが、その名前を見ただけでも分かる人にはネタバレになりそうなくらいで、声優さんを知らなくても作中で声に違和感を感じたらそれをきっかけに気づきそうなもの。
また、声で引っかかりを覚えなくても、序盤でコナンが蒸留酒のコードネームは男だけと言うのがミスリードだと気づき、沖矢さんが何故あの服装なのか考えればピンガの正体には辿り着ける。