こんなに感想を書くのが難しい映画は初めてかもしれない。
もし私が同業者だったら、観終わった後絶望して飛び降りてるかも。すごすぎて。
脚本も、構成も、演出も、ロケーションも、ところどころ映る様々なものの不気味さも、音も映像も、そして役者も。
すべてがすごすぎて、完璧という言い方はしたくないけど、こんなもの作られたらみんなどうするんだろうって。
あたたかい。
ずぶ濡れだったはずなのに、あの日差しのようにあたたかい。
みんな、自分のことしかわからない。
近くにいても、わからない。
そして時には、自分のこともわからない。
でも、よくわからないものに出会った時に、
それが何なのか、何が正解なのか、何だと間違いなのか、それをよく考えなければならない世の中によって悩み、「この人が悪者」「これは病気」などといった答えを見つけることで、解決した気になってしまう。
本当は、ふぅーっと吐き出すこと、ただそれでいいのだと思う。
ポスターと予告編から想像していたものと違って、安心と言ってしまうと良くないけれど、うわぁ...全然すごい...すごくとんでもない、すごく参った、すごくなんてこった..........という感じ。
あの予告編はわざとなのか、監督としては本意ではないのか、気になった。
是枝作品、今回も初日に観ることが出来た。
販売開始されてすぐに予約して、当日になったら大変なお天気で。
少し焦ったのだけど、土砂降りの初日。よかった。
是枝監督、持ってるなぁ。
一面水溜まりの帰り道も、よかった。
すごいなぁ。
エンドロールの人の立たなさと(何人かはいたけど)、静かさ。
以前も思ったけど、これが本当にすごい映画。人を黙らせる。
この空間も含めて大好きだからこそ、やっぱり是枝作品は初日に観たい。
あのあたりのジャンルの中では、野呂佳代さんは役者として唯一と言っていいくらいかも、結構いいなと思っていた人だったので、よかったです。
子役は、子役って言いたくないくらい。
やっぱり是枝作品に出てくる子ども、すごい。
毎度、脇役までちゃんと計算されていて好き。
是枝監督と同じように、子どもに未来を感じたいな。
以下ネタバレです。
最近、取ってつけたようにLGBTQをぶち込む作品が多くて、あぁ...そういうやり方無理です、ごめんなさい。って感じだったのだけど(BL作品は好き)、
このあたりもめちゃめちゃ丁寧でよかった。
ただ単に、同性愛とか、そういうわかりやすいものじゃない、そういうことじゃない。
これはいったいなんなのか、よくわからないけど...そんな風に思う何か。
あの年齢で出会う戸惑い。
性別は関係ないんじゃないかと思う。
関係ないというか、何も感じさせない、自然な感情の流れとして描いていたのがものすごくよかった。
だから、クィアパルム賞を獲ることで、それがわかりやすい形になってしまうのではないかと少し不安になった。
でも、ジョン・キャメロン・ミッチェルが話していた賞の授与理由を読んで、私が考えるクィアパルム賞はものすごく狭く、全然理解出来ていなかったのかも と思った。
ものすごく広い視野で見てこその、本作での受賞だったのかなと。
ほんと、まだまだ、まだまだだな。
私たち大人は、どれだけ幅広く、深く、柔軟な視点で世界を見ることが出来るだろう。
(結局めちゃめちゃ語るやん)
追記
時間が経って思い出した。
あのクラスの女の子、めっちゃよかったしリアル。ああいう子いるよね。
そして、雑巾を湊に投げるとこ、好きすぎた。
