みーゆー

怪物のみーゆーのレビュー・感想・評価

怪物(2023年製作の映画)
4.1
出発


「そんなものしょうもない。しょうもない。みんなが手に入るものがしあわせって言うんだよ」ずっと、頭に残る。誰もが手に入らないものなんて幸せじゃないんだ。当たり前だった。しあわせってなに?

「視点」がかわるごとに「真実」が浮き彫りになってる。胸糞がァ。なんて思ってた事案にも全て真実がそこにあって。逆にいえば「ほんとうのこと」がどんどん捻じ曲げられて、変化して、怪物ってさ、ほんとなんだったんだろうね。下手な伝言ゲームかよ。

「怪物だーれだ?」なんて言うから、この物語にはそれ相応の酷いことがあって、それを分かりやすくやってる人間がいるんだと思ってた。ほんとうにしょうもない。しょうもないのは私たちみたいな大人なんだろうか。病気なんてね、あるわけないんだよ。疑ってごめん。こいつが違うならこいつか?なんて、思っちゃってごめん。

秘密基地を作り上げる過程、眩しすぎて眩しすぎて涙が出た。どうかこのまま手を伸ばしたら掴み取れるはずのしあわせを大切にして。白線なんて踏み外して良いんだよ、外れたら地獄なんてあるわけがない、あるわけないんだから。

つくづく物事なんて他人から見たらぜーんぶ死角だなと思った。真正面から分かったつもりで、結局はぜんぶつもりだけなんだろうな。

出発の音がラストしっかりと聞こえた気がした。
将来、は、あの秘密基地の中みたいにキラキラで眩しくてベビースターでも食べながら味わえるものでありますように。しょうもない大人だからね、願うばかりだよ。