このレビューはネタバレを含みます
・終演直後の率直な感想は、結局ボーイズラブものかぁ。濃厚なシーンは無く記号的な用いられ方で、都合よく利用された感あり。二人の体格差があり過ぎる事やその言動の稚拙さから、湊が星川に惹かれる要素を見出だせず違和感。もっと言うと湊が中２にしか見えないのが難点。無理に幼稚な遊びをしてるようで痛々しい。
・坂元裕二がドラマで描く軽妙な台詞回しはほぼ皆無。笑いどころはゼロ。その要素を期待してただけに少し残念。ぽかったのは瑛太と高畑充希のシーンくらい。
ただし素晴らしい脚本に変わりはない。3部構成で、怪物の正体や時系列等を説明臭くならずに、でもわかりやすく描ききっている。
・怪物だーれだの宣伝に煽られ、怪物捜しをしながら観る。でもどこにも怪物なんていない。皆が持つ先入観、猜疑心が怪物を産み出す。時々鳴り響く不気味な音も、正体は校長と湊の金管楽器を吹く音だったように（この展開は痺れた）。
それでも個々が牙を剥くシーンは描かれる。母は保利にガールズバーにいたと言い、保利は校長に孫を轢いたのではと言う、湊は星川に父親に捨てられたと言い、星川は父親がいるであろうビルを燃やす、怪物はいないが、誰の胸にも怪物は潜む。
・目に見えぬ怪物を恐れず、自分自身を解き放てば、その先に眩しく輝いた世界が待っている。自分の中の怪物を肯定することを促すそんなラストシーン。
廃線を遮る柵が無かった事から、恐らく死後の世界か、湊の精神を描いた世界。
本音を言うとリアルな世界でそれぞれがどう立ち回るかが観たかったけど、それはそれで蛇足かな？
