宣伝CMで、カンヌ上映後のインタビューを映し出したものがあって、「美しい映画です」と答えている人がいるのだけれど、序盤はそういう感覚で見ることは出来なかった。
「美しい」と心から思ったのは中盤に章が移って来てから。彼らが主役の物語になってからである。
本当に。なんという美しい子どもたち。
繰り返される「怪物だぁれだ」
怪物は結局、誰だったのか。
この子どもたちが、劇中の大人たちにならない世界が欲しい。この美しさを保ち続けられる世界が欲しい。
柊木陽太くんは、一昨年から連ドラ主要キャストの子ども時代を好演してきたモンスター子役。
この作品の中で、自由に、妖精のように走り回る。
黒川想矢くんには『誰も知らない』時代の柳楽優弥の雰囲気があり、ナイーブな少年を見事に表現。
美しい時代を生きる少年たちを美しい風景と共に、美しい坂本龍一氏の音楽をバックに流す。
しかし彼らの前途が「それでも生きていく」なのは、やはり坂元裕二脚本が作る闇なのだった。
名作。