このレビューはネタバレを含みます
「是枝監督×坂元裕二脚本×坂本龍一音楽」という第一報に、なんじゃそりゃ〜〜!ってすごく興奮してた(まさか遺作になってしまうとは……)本当に素晴らしかったです。ありがとう。
もうずっと胸がくるしかったな。とくに前半 ……いや、前半と後半では、くるしさの種類が違ったのかもしれない。
なぜか校長先生のパート(視点)になったとき、急にううって込み上げた。それまで溜まってたものが一気に溢れたみたいにボロボロ泣いた。校長の旦那さんの声音と表情がとても優しくて、だめだったのかもしれない。そこからはずっと泣きっぱなしだった。
くちびるぷるぷる〜♡(で合ってるかな)が持ちネタのタレントのこと、すごく心に残ってる。ああいう笑いにずっと違和感があったし、誰かを傷つけるものだと改めて痛感したけれど、だけど、彼女にとってはそれが処世術の一つだったのかもしれない。現実との落とし所、諦観を含んだ表現方法だったのかもしれない(もちろん、そうではないかもしれない)。そう思うと、もうどうすればいいのかわからなくなってしまうね。
いつも思うけれど、何かそれまでの価値観が「古く」なるとき、すべてがダメだった、間違っていた、と切り捨てられることにやり切れなさを感じてしまう。きっとそんなに簡単に割り切れるものじゃないんだよね、人間の心は。だからこんなにも難しい。
私も誰かにとっての怪物だ。みんな怪物で、そして本当は、誰も怪物なんかじゃない。
それはたとえば昔話のようなたった一人の絶対悪がいる世界より、ずっとずっときつくて哀しい。
星川くんのお父さんだって。「今回は描かれなかっただけ」なんやと思う。絶対に言ってはいけないことを言った。してはいけないことをした。そこは揺るがない。でも、彼にだってきっと物語や背景がある。
恐ろしいよね…… 私の見てる世界っていうのは、文字通り「私の見てる世界」でしかない。ときどき言葉を使って何かを表現するのが恐ろしくなってしまうな。
この日は実写版「リトルマーメイド」を続けて観て、全然別の作品同士が目配せし合うように繋がっていてとてもよかった。固定観念。悪意のない差別。思い込み。それぞれにとっての「あたりまえ」……
(心を込めて書いた文章があるので、もしよければ覗いてみてください🐠𓂃𓈒𓏸 https://note.com/fuuutaya/n/nb40dd386afd5)
お守りの飴ちゃんもなぜかとても心に残ってる。
保利先生が、ごめんな!おれが間違ってたよ!と叫んでくれたこと、なんだかとても救いだった。
ものすごく未熟で、野蛮で、知らないことばかりの私たちだけど、諦めなければ少しずつみんなで怪物を克服していけるんだよ、きっと。少なくとも私はそう信じていたい。
はあ。本当にめちゃくちゃよかった。素晴らしかった。映画館で観られて幸せです。ありがとう。