ミストスグラチョフ

すべての夜を思いだすのミストスグラチョフのレビュー・感想・評価

すべての夜を思いだす(2022年製作の映画)
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おそらく、これまで観てきた映画の中で最も、自分の育ってきた環境の(に近い)景色がありのまま映し出されてる作品。宅地化がすすんで同じような建物が並んでいる風景は不気味な清潔さをたたえていて、下町のような味わいもなければ、地方の大自然のような魅力もなく、映画として映し出されるに耐えうるものではない、あまりにつまらないものと思い込んでいたので、そのことに驚いたというのが一番の感想。
あえて劇的にすること(たとえそうすることで陳腐に仕上げることはいくらでもできても)をせず、静かに映し出すことを徹底していて、それがすごいなあと思った。よく耐えられるなあ、というか。システムと組織に組み込まれてる日々を送る自分が日頃忘れているリズム感。
語らずして語るというか。