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マイ・エレメントのchunkymonkeyのレビュー・感想・評価

マイ・エレメント(2023年製作の映画)
3.5
移民と環境問題をテーマにしたディズニー・ピクサー最新作は、まさかの純ラブコメ!?美しく構築された世界観は圧巻、わかりやすい表現手法はがっつり子供向きも、それにしては恋愛色が強く、キッズの皆様の感想が気になるところ...

まずは、なんといってもさすがピクサーの圧倒的な映像世界!民族として描かれる火、水、地、空の4要素の特徴など、私たちの世界に存在する様々な「素材」の美しさが遺憾なく表現されていて素晴らしい!正直、絶対観るべき映画というほどではないのですが、でもどうせ観るのであればこれは劇場で。

火の民族の女性エンバーと水の民族の男性ウェイドの恋物語。っていうか、映画を観なれている大人はもちろん、映画に慣れていない子供が観ても、"スラム街で暮らす(イスラム/韓国)移民二世の食料品店の跡取り娘が、都心の高級タワマンで家族と暮らす公務員のセレブ白人青年と恋に落ちる話"でしかない。

ヒジャブ(頭にかぶる布のヤツ)にスジュード姿勢(お祈りの時のひれ伏すアレ、監督のルーツ韓国のクンジョルにも通ず)、そんな彼らの文化を無視して形成されているエンタメにインフラ。あげく危険人物出禁扱いで、あぁなんて生きづらいの... もう描かれるものと現実の結び付けの何もかもがあまりにも露骨すぎてもはや"メタファー表現"では一切なくなっており、火だの水だのそういう本作のタイトルでもある「エレメント」な擬人化設定は、完全に無意味化してる🤣

もちろん、映画の読み解き方を知らない子供たちが「あ、これうちのクラスにいるあの子のことだ!」と思えるためには、これくらいわかりやすくないとというのはわかる。でも、キッズ向きにしては、ラブコメ色が強すぎんか?それともイマドキのキッズは、ラブコメ好きなんか(笑)?いや、冒険ものにちょっと主人公の恋模様がとか言うレベルではなく、最初から最後までがっつり古典的ラブコメやで...

もう一つ気になったのが、「移民」に次ぐ、第二のテーマである「環境問題」について。火の民族が暮らすスラム街では水漏れ(海面上昇)という環境問題が深刻化しているのですが、行政をつかさどる水、空、地の民族は自分たちの住むとこには影響ないので超テキトウにしか対応しない。そして、スラム街を悲劇が。

これまた現実と露骨にリンクしているこの問題が全く未処理のまま大団円を迎えるんよね。え、これ一体結局どうやって解決したんよ?で、いつの間に共生?本作、前座(カールじいさん)を含めるとちょっと子供向き映画にしては上映時間が長いので、おそらくここは編集で端折ったんだろうなとは想像されます。が、消化不良感がかなりあり... いや、カールじいさんと犬のダグ可愛いしほっこししたけどさ、それで本編の重要な要素削って台無しにしちゃうのか?

てなわけで本作は、頭空っぽでみられるラブコメを実写では再現できないキレイなピクサー映像で観る映画😊という理解でよいと思われるよ。

劇中とエンド・クレジットのラウヴの新曲がとっても素敵だった!Spotifyでまた聴かなきゃ😍
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