ブン

マイ・エレメントのブンのネタバレレビュー・内容・結末

マイ・エレメント(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

ケータイが壊れかけて意気消沈したので、気になった映画をみてきました。バービーとスラムダンクとRRRもみたかったけどエレメント的な話がきょうみある友達が身近に2人いるということと、気分的なこともあってこれにした。

全編通して一番私の心がおおおおおとなったのは、火のエレメントのエンバーと、水のエレメントのウェイドの恋愛展開ボルテージがMAXになるところで、二人の手が重なり合う時のビリビリ感です。シューと手の接触面から湯気が放たれます(分厚い布に霧吹きで5回ぐらいプッシュした直後、高温のアイロンかけたときの感覚)しかもそのときウェイドの体内がぼこぼこと沸騰してて。このかんじ10代の恋愛のときのあのびりびりやんけ!!!!となりいろいろメッセージありつつ、この映画恋愛やんけ・・・という感情になりました。触れ合ったらどうなってしまうんだろう?という未知への恐怖(ためらい)みたいなのがずっと長く存在していて、ある日突然「え!!!これなん!!」となってそのためらいなど一気に吹き飛ぶようなやつです。

・エンバーの感情爆発設定のこと
序盤にこれの描写がでてきて、物語上この性格がいろんな場面でキーワードになってくるんやけど、だいぶ辛かったな。これは早期に療育が必要だ!深呼吸だけでは無理やろ!と普通にツッコミをいれたくなって。何この物語はノれないな…と冷めた。恋愛して好きな人ができて幸せを手に入れることでメンタル安定するで、みたいにふんわり解決(というか、運命の相手との出会い演出装置に使われた感)してたけど、こういう特性を根性論で解決するのはよくない!!と思ってしまいました。というかたぶんそもそもエンバー接客むいてないんやろな。笑 だから結末もクリエイター(職人)への道に導かれて行って結果オーライなんやけど。むりに環境に適応する必要ないと思うよ。

・おかんルール
占い師のおかんが「恋の匂いがする」とかいって目ざとく気づくところに、まずキモ!!!となったけど、その占いの館にウェイドとエンバーを無理やりつれてきて「私が占ってあげよう」といってウェイドが棒に火をつけられないのをみて「そういうことよ」ってドヤ顔するのめっちゃ腹立ったわ。(物語的にはウェイドが機転を効かせてレンズの原理で火をつけたが)かってに自分ルール、自分の土俵でジャッジしようとする感じが嫌。あなたのルールですやん。最後にその占いの結果が最強で「二人の愛はほんものよ〜」みたいなお墨付きあたえるのもハピエンみたいな空気だしてるけど許さん。運命じゃなくても本物じゃなくても恋愛ぐらい勝手にするよ。

・私の好きな人はどこにもいない
真逆タイプ好きになる私ための映画かな?と期待してたがウェイドもエンバーも自分すぎた。誰かに共感しすぎて感情が揺さぶられたりぐらぐらしたり、いろんなこと考えすぎて考えすぎてグズグズしてしまう感じとかはウェイドだし、うおおおおおって感情が爆発したり視野が狭くなり突っ走ってしまうところはエンバーだし。でも私の恋愛的に好きな人は、もっと静かで。優しさはあっても過剰に他人に介入しないドライなタイプなんですよね…。淡々と自分を持っている。エレメントでいうともしかしたら風に近いのかなぁ。風代表で登場する激おこ上司は全然そういうタイプにみえんかったけど、笑 そういう意味で期待してた「エレメント感」はなかったな。

・いいエレメント感
だけどいいエレメント感もあって。それはやっぱアニメーションのたのしさ!雲を載せた飛行船みたいなのが、人が降りたらしぼんでまた乗ったら膨らんでとか、大きな布を被せて火の力でめっちゃ膨らんで気球みたいになるときとか、ガラスを作るしぐさもそうだし。エンバーが鉱石をジャンプして移動するたびに全身の色が変わって、それに呼応するようにウェイドが水しぶきを自在に発生させて虹をつくるところとか、わーーーきれい〜!ってなったよね。それで最もきれいなのが、伝説の花みたいなのを水に沈んだ駅のなかで見るとこ!!!あれめっちゃいい!でっかい気泡につつまれたエンバーを水中を自在に動けるウェイドがサポートしてくれるところも、恋!!ってかんじでよろしい。ふたりの世界やん。そのあとに冒頭でいった初めて触れ合うシーンに繋がる流れもロマンティックよね。あそこにはロマンティックしかない。ロマンティックが好きな私の世界やな。ああいうのをいい!!すき!!っていってる限り、たぶん、ドライな彼らとはうまくいかないのだろうなというはわかってます!!!!!

・受け継ぐ話
上の世代が大切にしてきたものとか思想とか文化とかを受け継ぐというかなり普遍的な話。自分の中にも葛藤があったけれどもうわかったからさ〜みたいな気分でもある。お爺や親戚の人たちからは、何も成し遂げてない自分でもなんだかんだ許容してくれて、訪問を喜んでくれる感じがあり、無条件さに愛を感じてとてもよい。だけど母は永遠にこどもこどもといってくるし(産めない年齢になれば諦めるだろうが)そういう許容を経験したあとも、やっぱりどこまでも縛りのようなものが追いかけてくるような感覚がある。それは「正直に言えばわかってもらえるよ」というレベルの話ではないように感じる。それこそジブリの「君たちはどういきるか」とかはその先の世界(長く続いた完璧に思われたこの世界はもう崩壊だよ。でもまだ別の世界が続くし、それはみんなもっているよ)みたいなことを言ってくれてるので救われる。
ブン

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