サマータイムブルース

マイ・エレメントのサマータイムブルースのレビュー・感想・評価

マイ・エレメント(2023年製作の映画)
3.9
映画館で観たかったけど、タイミング合わずに見逃していた作品
早くも配信されていたので鑑賞!!こんなにも早く観られるなんて!!

うわー、コレは劇場案件でしたわ、楽しい音楽と映像の美しさ、特にエレメント・シティの美術に圧倒されました

舞台は、火、水、土、風という4つのエレメント(元素)を持つ住民たちが暮らすエレメント・シティでの物語
通常は混じり合うことのない、“火のエレメント”のエンバーと“水のエレメント”のウェイドのラブ・ストーリーです

バーニー・ルーメンが妻・シンダーと共に火の国からエレメント・シティに移住してくるシーンから物語は始まります
火のエレメントはなんでも燃やしてしまうことから、他のエレメント達から嫌われ、差別されており、なかなか住む場所を見つけられません
そんな中、2人は苦労して雑貨店を開き、エンバーという女の子を授かります

エンバーは両親の愛をたっぷり受けて成長し、父親の経営する雑貨店を継ぐのを目標に日々努力しています
うーん、今時、親の経営する店を継ぎたがるなんて、なんて殊勝な娘なんだ!!と思いきや・・・

エンバーはすぐに癇癪を起こし、客と喧嘩してしまうのが玉に瑕です
そのため、なかなか父から店を継ぐ許可が降りません
(何故、癇癪持ちなのか、その理由は後半明らかになります)
そんなある日、エンバーの癇癪によって水道管が破裂してしまい、そこに、水の検査官、ウェイドがやってきます
ウェイドは心優しい青年です

個人的に、脇の下に花を咲かせてエンバーにプレゼントする“土のエレメント”のクロッドがキュートでお気に入り!!
何故脇の下!?(笑)

映像特典の「マイ・エレメントが起こす奇跡の化学反応:メイキング映像」も合わせて視聴
コレは監督のピーター・ソーンさんの人生の物語で、コレを観て映画に対する理解がより深まりました

彼は、学校で元素の周期表を習った時、元素をキャラクター化して楽しみ、それが本作の始まりだと語っています

ピーター・ソーンさんの両親は共に韓国人であり、60年代後半に韓国からニューヨークに移住してきた移民です
そこで両親は小さな食料品店を開くことになります
当時のアジア系の移民が、現地で嫌われ、差別されてきたのを彼は子供の頃から見てきました
この映画は彼の実体験がベースになっています

つまり、雑貨店は食料品店であり、火、水、土、風の異なるエレメントの集まるエレメント・シティは、あらゆる人種の集まる多様性の街ニューヨークであり、さらに言えば、火は差別されているアジア人、水は白人を指しています

そして、ポイントは2つ
1つが、絵を描くことが好きだったピーターに、アニメクリエイターになることを両親が反対したこと
2つ目が彼が韓国系でない女性と結婚したこと
映画のまんまやないけ!!

もちろんコレは子供も楽しめる映画ですが、そういうことを踏まえて観ると、実は大人こそ見るべき映画なのではないかと感じました
ただし、コレの本質はラブ・ストーリーであり、親子の物語でもある、と監督は最後に語っています

ラストは優しい気分になれる、素敵な映画でした
ピーター・ソーン監督、ありがとう!!