とみやま

その夜の侍のとみやまのネタバレレビュー・内容・結末

その夜の侍(2012年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

「未来のミライ」を観たあとに観る映画じゃ全然ないな!温度差の違いが強烈だな!とか思いながら観ていた。

『葛城事件』もそうだけど、よくもまあ、こんな苦くて息苦しい物語を思いつくよなあ。平凡だと思っていた生活と地続きに、地獄のような非日常が存在する様子を、いやーなほどに、じゃんじゃんと日常から切り取り出していて、すごい。でも、同時に、どこか救いがあるような気もする。良心という形で。

自堕落に生きて、暴力を振るい、「死ね」だとか「殺す」という言葉をスナック感覚で使うけど、そんな度胸も覚悟もない。そして、スナックのように、さくっと人が命を落とした過去。復讐を誓っても、復讐できない胸の悪さ。じりじりと真綿で首を絞められているような、ひりひりとざらついた場面の連続と後味の悪さに、いやーな気持ちになる。そして、泥にまみれた「決闘」はどうにもならないぶつかり合い。
『葛城事件』でもそうだったけど、カラオケひとつでこんなにも、滑稽で空虚な表現ができるなんて、赤堀雅秋さんはホントすごい作家だ…

あと、プッチンプリンと衣服と下着で、こんなにも絶望を表現できるのか!と驚いた。
とみやま

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