とみやま

ボーはおそれているのとみやまのネタバレレビュー・内容・結末

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

かなり体調の悪い時に見る悪夢をスラップスティックコメディにしたらこうなりました。というような映画。所々爆笑しながら見てた。冒頭パートが最高で、風呂に入ったら、うわあっ!?って驚いて全裸のまま外に出たら、凶器を手にした全裸の老人が全力ダッシュで追いかけてきて…という一連の場面はあまりにもくだらなすぎて爆笑した。この映画、ホアキンが「こうなったらヤだなあ」って展開やアイテムを、丁寧に丁寧に仕掛けて、思いっきり全力できっちり回収してくれる。劇中通して全力で殺しに来るヤバい奴、とかもね。最悪過ぎて笑ってしまう。とても馬鹿馬鹿しいけど悪夢的。この感覚が良かった。

それにしても3時間は絶対に長い。長いからといって勿論退屈なわけじゃない。まあ心地よく眠くなる場面もあるけど。見終わって振り返ったら「思ったより長くなかったな」という気分になる。見終わった後の満足感!とは言えないけれど、お土産はたくさんくれる感じが良い。たとえば森の中に入るシーンは心地よく寝そうになった。とっても心地いい音響で寝かせに来てるなこれ、とか思ってたら、森の中の演劇シーンに寝ている観客が映っていたので、確信犯なのかもしれない。

劇中の演劇も見ているとユダヤ人の迫害が濃く反映されている。ユダヤの民族的な歴史的恐怖が強く意識された世界なんだなとつくづく感じる。それに話を追っていくうちに母親が強く支配する世界。ヒリヒリして面白かった。つーか、ボーの父親はなんなんだ。驚きや怖さよりも先に「えっ、どういうつもり?」と笑ってしまう。フロイトも驚きの思い切りの良さである。
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